歯ブラシ処方箋Ⓡ
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図B-3 唇側辺縁歯肉のクリーピング(1991年4月)唇側辺縁歯肉はロール状に肥厚しているが、放射状に走行する毛細血管が認められる。この状態は辺縁歯肉がクリーピングしている時にみられる特徴である。図B-2 ブラッシング指導毛先を歯肉方向に向け、唇側辺縁歯肉に当たらないように歯頚部に歯ブラシを置き(a)、その位置から切縁方向へ撫でるように歯ブラシを回転させる(b、c)。ルシェロOP-10(ジーシー)歯ブラシの処方P.44図2のフローチャートによる選択1回目の口腔衛生用品処方のプロセス歯列の状態永久歯列期歯肉の状態  傷がある歯肉の厚み薄い使用者の状態自分で磨く・不自由ない患者の特徴●ブラッシング圧が強い●歯肉が退縮している●歯間乳頭歯肉と唇側辺縁歯肉の差がある 433は辺縁歯肉が退縮して唇側の歯頚部セメント質が露出していました。咬合様式はグループファンクションで、433には下顎側方運動時の過干渉は認められなかったため、歯肉退縮の原因は咬合ではなく不適切な歯ブラシの選択とブラッシング方法によるものと判断しました。 歯間乳頭歯肉と唇側辺縁歯肉の高さの差が大きく歯ブラシが均等に当たりにくく、歯頚部う蝕になりやすい状態でした。そこで、まず唇側辺縁歯肉をクリーピングさせ、歯間乳頭歯肉との差をできるだけ小さくしようと考えました。ブラッシングによる機械的刺激を最小限にするため、歯肉に当たってもダメージが少ない超軟毛のルシェロOP-10(ジーシー)を選択しました。唇側辺縁歯肉の退縮が著しく、セメント質の露出があるため、プラーク除去よりブラッシング圧のコントロールを優先して指導しました(図B-2)。 毛先が潰れないくらいの弱い圧で行うことが大切で、このブラッシング方法が定着するまでは1週間に1度来院してもらい、ブラッシング圧をチェックしました。 辺縁歯肉が生理的な位置まで戻ろうと活性度の高い状態になると、放射状に走行する毛細血管が見えるようになります(図B-3)。歯ブラシの毛先の方向・圧・ストロークが安定した時点でライトアングル法でのブラッシングを始めました。また、叢生があり、歯間部のプラークコントロールが不十分であったため、デンタルフロス(Johnson& Johnson、製造終了)を処方しました。abc854

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