歯医者さんに教えて! どんなお薬飲んでいますか?
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151狭心症・心筋梗塞がある患者さん 歯科診療室での歯科治療は、比較的短時間で大出血しないことなどから侵襲が小さいと考えられていますが、しかし循環器疾患の患者さんでは痛みや不安・緊張によって交感神経が緊張すると、心拍数や血圧が変動しやすく、心機能を悪化させる可能性があります。ただ、虚血性心疾患があっても、糖尿病患者さんや高齢者では胸痛をともなわず、心機能の悪化を把握しづらい場合があります。歯科医院では、できるだけ緊張させないように努めると同時に、心電図やパルスオキシメータ、血圧計などのモニターを装着して再発に対応します。これらのモニターは、痛みなどの侵襲もありません。 心不全の重症度分類(NYHA)(表1)の2度の患者さんでは、局所麻酔薬に含まれるアドレナリンの使用が40μgまでは安全と言われています。 体調が良くないときは、できるだけ歯科治療を避けた方がよいでしょう。また、ニトログリセリン(ニトロペン®など)などの薬は必ずご持参ください。歯科治療により心臓発作が起こることがあります。1 血液をサラサラにする薬を服用されている方は、出血が止まりにくいかもしれません。場合によっては、抜歯などの止血困難な歯科治療ができないことがあります。どうしても抜歯が必要な患者さんでは、医科主治医(お医者さん)との相談が必要です。血栓などの合併症が生じる可能性がありますので、安易な薬の中止は行わないでください。 なお抜歯を行った場合、十分な局所止血処置が必要ですが、通常30分以内で止血されます。まれに24時間後に再び出血することもあると、報告されています。まれに出血が止まりにくいことがあります。3 歯科診療では心疾患を悪化させることなく、偶発症を回避するため心機能の評価が重要です。心臓機能の定期検査データ(心電図、心臓エコー検査、ホルター心電図、採血データなど)をご持参ください。 また循環機能の予備力を評価する「NYHAの分類」などがしばしば用いられ、問診などから状態を把握することがあります(表1)。心臓の検査結果をご持参ください。2分類1度心疾患はあるが、身体活動制限の必要はない日常の生活活動で、疲労、動悸、息切れ、狭心症などの症状は起こらない。2度軽度の身体活動制限を必要とする安静時には何も症状はないが、日常の生活活動で、疲労、動悸、息切れ、狭心症などの症状などが起こる。3度中等度ないし高度の身体活動制限を必要とする日常生活活動を軽度に制限しても、疲労、動悸、息切れ、狭心症などの症状が起こる。4度強度に身体活動を制限しても、心不全や狭心症状が起こり、安静を守らないと症状が増悪する表1 心不全の重症度分類(NYHA)□ 診断名は「狭心症」と「心筋梗塞」のどちらですか?□ いつ「狭心症」または「心筋梗塞」と診断されまし  たか?  (  歳  ヵ月)□ どんなときに発作が起こりましたか?  (安静時、労作時、早朝、日中、夜間など)□ 最近も発作は起きましたか?(  月  日)□ 最近、心臓の検査をしましたか? (心電図、  心臓エコー検査、ホルター心電図、採血データなど)□ 狭心症、心筋梗塞に対する手術を受けたことはあり  ますか?(心臓のステント治療、心臓血管バイパス術)□ 疲れやすいですか? □ 最近、手足や顔などはむくみやすいですか?□ どんな薬を服用していますか?症状や治療などについて教えてください。患者さんにお伝えしたいこと・お願いしたいこと

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