完全攻略 スーパーボンド(R)
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42 歯質に対して接着性を有するレジンは,細菌やその毒素などが歯質とレジンの間に漏洩することを高いレベルで阻止することができ,歯髄や歯根膜への感染防止に高い効果が得られる.その反面,レジン自体が炎症を誘発する危険性もあるので生体親和性も必須である.封鎖性と生体親和性の両方に優れていると,根管充填や穿孔部の封鎖,逆根管充填,歯根破折の治療などに効果を発揮し,治療が困難であった症例の保存の可能性が広がる. しかし,レジンは使用法を誤ると十分に接着しないだけでなく生体親和性も得られないので,生体親和性に及ぼすさまざまな要因を理解したうえで使いこなさなければならない.そこで,本稿ではスーパーボンドの生体親和性について考察する.Ⅰ各種レジンセメントの生体親和性 組成や重合形式の異なる4種類のレジンセメントを用いて,垂直破折したネコの歯根を接着,再植し,術後4週で組織学的に骨欠損状態や根吸収状態を計測した1.使用したレジンはMMA,4-METAを主成分とする化学重合型のスーパーボンド®,Bis-PEDMAを主成分とする化学重合型(製品A),UDMA,TEGDMA,HEMAを主成分とするデュアルキュア型(製品B),MEPP,NPDMAを主成分とするデュアルキュア型(製品C)である. その結果,スーパーボンドを用いた歯根では,再植のみを行ったコントロールと歯根吸収や骨吸収状態は同程度であったが(図4-1a),ほかの3製品では有意に大きな根吸収や骨吸収が生じた(図4-1b~d).スーパーボンド®の生体親和性スーパーボンド®の基礎2章―なぜ歯周組織に優しいのか? その謎に迫る―no.4  はじめに図4-1a〜d レジンセメントでネコの破折歯根を接着再植したのちの治癒状態.破折線周囲の根吸収(黒矢印)や骨吸収(白矢印)は,図aのスーパーボンドでは認められないが,図b~dに示すほかのレジンセメントでは著しい.スーパーボンド製品B骨破折根管歯根膜製品A製品Cbadc

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