歯科医師・歯科衛生士のための滅菌・消毒・洗浄・バリアテクニック
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88スピットンのカバーは必要? スピットンは患者がうがいを行う部位であり,内部はかなり汚い(図46).時にはうがい液がスピットンからユニット側にこぼれてしまうこともある.さて,この部位をどのようにするか.九州医療センター歯科口腔外科では何も行っていない.なぜなら,診療中・診療後も,スピットンを術者が触り,その手で患者の口腔内の処置を行うことはないからである.この部位は診療後に通常の清掃で十分である.ユニット側にうがい液がこぼれた場合は,医療用清拭シートで清拭することで十分と思われる.ユニット本体にカバーは必要? ユニット本体にカバーをかける施設が時々見受けられるが,これは過剰と思われる.まず,診療中に患者の口腔内液が口腔外へ首筋を経て流れて,ユニット表面に付いても,それは清拭で十分である.まさか,清拭した手袋で患者の治療を行うことはないだろう.ヘッドカバーも通常のカバーで十分である.スピットンとユニット本体のバリアは?6-7 歯科用ユニットのバリアの基本領域は,テーブル表面・テーブルハンドル・ライトハンドルである.そのほかは診療内容によってバリア領域を増やして単純にカバーすればよい.バキュームを用いる診療行為では唾液などの飛散が予想されるため,当科ではハンドルも含めてライトをポリ袋で覆っている.そのコストは使用する材料によって変わってくる.診察のみの場合のバリアの領域 口腔内を審査する歯周検査のみのときなどは,ライトハンドル(片側のみでもよい),テーブルハンドルをバリアする(図47a〜c).タービン,エンジンを使用しない根管治療,義歯製作などの場合のバリアの領域 根管治療,義歯製作などのときは,基本領域,バキューム,3Wayシリンジ(図48a〜c)をバリアする.診療内容とバリアの領域・コスト6-8図46 スピットンは患者の唾液で汚れるのは当然である.このようなエプロンが果たして必要であろうか.患者ごとに交換する際に,逆に汚染を広げそうである.CHAPTER 6 歯科ユニットのバリアテクニック

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