歯科医師・歯科衛生士のための滅菌・消毒・洗浄・バリアテクニック
4/6

51コールが浸透しないで,感染性が残存する可能性がある(図11).また,表面が濡れている場合には,アルコール濃度が希釈され,消毒効果が減弱する.したがって,血液が付着した部位のアルコールによる清拭は勧められない.清拭する場合は,医療環境用清拭シートで血液・唾液などを拭き取り,その後,濡れたアルコールで消毒することが必要である.アルコール綿で血液を拭き取ったリーマーなどのファイルを洗浄・滅菌せず,別の患者に使用することは極めて危険である. また,アルコールは濃度が低下すると消毒効果が減弱する.そのため,揮発性が高いアルコールに浸した綿を容器に入れ,乾くとアルコールを注ぎ足して使用するという方法は勧められない(図12a, b).0住居洗剤セイフキープ72.6w/w%エタノール含浸シート20406080100血液汚れの洗浄率(%)【実験の条件】 ステンレス板(30×80mm)に保存ウマ血100μLを塗布し,50℃で60分乾燥して固着させた.血液汚れが固着した部分を,住居洗剤の40倍希釈液を含浸させた不織布,「セイフキープ」,または72.6w/w%エタノール含浸シートで5回清拭した.清拭前後の固着血液汚れの重量変化より洗浄率を求めた.図11 アルコールも,消毒剤として医療現場ではよく用いられる.しかし,血液を固定してしまうので拭き取り効果は弱く,きれいになったように見えても血液が残っている場合がある.機器を清拭するときは,まず血液を拭き取って,アルコールは濡れた状態で使用する.*花王ハイジーンソリューション2012; (12)より引用図12a アルコールは揮発して濃度が低下すると,消毒効果が減弱する.また,容器に入れたアルコール綿は不特定の手によって汚染されることもある.図12b 近年では1パックずつ包装されたものが用いられている.baPART 3 バリアテクニック

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る