歯科医師・歯科衛生士のための滅菌・消毒・洗浄・バリアテクニック
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50素酸ナトリウム溶液,図9)が一般的である.B型肝炎ウイルスなどの消毒として,目に見える血液汚染がある場合の次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度として0.5%(5,000ppm)溶液での清拭が勧められている.これは「キッチンハイターⓇ」で1,000mLの水にキャップ約5杯(1杯約25mL,すり切りは溶液を溢す可能性があり危険で,目一杯は入れない)を溶かした溶液であり,かなり塩素の臭いが強い.換気が必要であり,また金属を腐食させるため,これら消毒液を用いた患者ごとの拭き上げは現実的ではない.アルコールで拭くのはだめなの? アルコール(エタノール)は中水準消毒剤として一般によく用いられている.70〜80%アルコールがもっとも消毒効果が高いといわれている(図10a, b).細菌などのタンパク質を変性させたり溶菌させたりして,殺菌作用を発現する. しかし,血液・唾液などの汚染物質が付着した状態でアルコールで拭いても,血液・唾液中のタンパク質を逆に固定し,その中に存在するウイルス・細菌まではアル臨床的接触表面を中水準消毒できるか?5-6次亜塩素酸ナトリウムの効果 次亜塩素酸ナトリウム溶液は,中水準消毒剤に分類される.日常生活で用いる「キッチンハイター」(5〜6%次亜塩素酸ナトリウム溶液,図8),「ミルトン」(1.1%次亜塩図8,9 次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒剤に属し,きわめて消毒効果が高く,医療現場・日常生活で使用される.用途によって使用濃度が決められており,使用の際は希釈濃度を守ることが重要である.つくりおきはしない.図8 5〜6%次亜塩素酸ナトリウム.図9 1.1%次亜塩素酸ナトリウム.ab図10a, b 消毒用エタノールの濃度は揮発することを考慮し,75〜81%の高めになっている.希釈して用いる95.1〜96.9%エタノールも販売されている.CHAPTER 5 バリアテクニックの基本

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