歯科医師・歯科衛生士のための滅菌・消毒・洗浄・バリアテクニック
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31般歯科診療時の院内感染対策に係る指針」(2014年)では,ハンドピースは高水準消毒ではなく,患者ごとに滅菌処理が必要とされている. ただし,セミクリティカルに適応する器具は,消毒後に消毒薬を洗浄しなければならないことから,近年ではウォッシャーディスインフェクター(WD)を使用する医療機関が増えている(図5).ウォッシャーディスインフェクターは,高温の水流で一定時間器具を洗浄する機械で,B型肝炎ウイルスを不活化できるAo値3,000を超える機種もあり(表4,5),中水準レベル以上の消毒効果を期待できる.ただし,ウォッシャーディスインフェクターは,処理したい器具に熱水が適切にかかることが必須であるため,庫内での器具の配置・重なりなどに注意する.また,器具に付着した固形物(セメント,レジンなど)を除去したうえで,ウォッシャーディスインフェクター処理をする. ノンクリティカルに適応する器具では,低水準の消毒レベル以上の消毒薬で対応して準備する(表3).汚染された器具・装置の処理時の注意点(図6) 歯科治療時の器具は,潜在的に血液に汚染されたものとして処理することが前提である. 使用後の器具は,「クリティカル・セミクリティカル」と「ノンクリティカル」に分け,お互いの器具が交差しないようにする.クリティカル・セミクリティカルの対応 使用後の器具の流れは一方向に順に行う.①運搬 汚染された(使用後)のクリティカル・セミクリティカルの器具は,それ以外のものに触れないよう運搬する.図5 ウォッシャーディスインフェクター.表4 ウォッシャーディスインフェクター(WD)の効果.Ao値3,000以上のウォッシャーディスインフェクターを使用すると,中水準の消毒薬を使用した状態と同レベルの処理を行うことができ,消毒後の水洗・乾燥の手順が不要である.ただし,WDがAo値3,000の基準を満たしていない機種の場合は,予備洗浄レベルとして使用し,引き続き消毒などの手順が必要となる.Ao値温度(℃)時間(分)Ao値607010(600秒)801(60秒)900.016(1秒)Ao値60070100(6,000秒)8010(600秒)901(60秒)Ao値3,0008050(3,000秒)905(300秒)Ao値12,0009310Ao値:熱水消毒の条件を対数的死滅則を用いて80℃の熱水消毒に換算したもので,その等価消毒時間である.*医療現場における滅菌保証のガイドライン2015.一般社団法人日本医療機器学会.より引用表5 主なウォッシャーディスインフェクター.製品名問合先Ao値ウォッシャーディスインフェクターIC Washerモリタ3,000以上歯科用器具洗浄/消毒システム ミーレジェットウォッシャー(PG8591,PG8581,G7831)白水貿易3,000以上ウォッシャーディスインフェクター スティールコDS 50 DRSエムエス3,000以上メラサーム10ジーシー3,000自動ジェット式器具洗浄器 歯科用パナソニック,ヨシダ600PART 2 洗浄・滅菌・消毒

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