マイクロデンティストリー YEARBOOK2018
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別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2018」若手歯科衛生士が使うマイクロスコープの可能性89など,チェアタイムのなかでできる範囲でステップを踏んで,活用の幅を広げていくとスムーズである.②事前に炎症を抑え,明瞭な視野を確保する 確実な処置を術中の視野が明瞭な状態で行うためには,前処置として患者に適切なセルフケアと生活習慣の改善を促し,炎症を抑えて出血しにくい状態にしておくことが不可欠である. 炎症のある状態では,出血により視野が妨げられてしまう.生活習慣を改善し,適切なブラッシングと歯間ブラシの使用2により炎症が抑えられると,明視野下で確認することができる(図15~18). 筆者の勤務する歯科医院では,「生涯にわたり患者のお口の健康を維持していくためにはどうすればよいか」をつねに意識している(図19).「患者自身が自分のリスクを理解し,みずから積極的に改善・予防法を考えて行動することが,生涯にわたり口腔の健康を維持することにつながる」と考え,口腔衛生指導や治療を行う前に,まずは精密検査,カウンセリングを行っている(図20).その検査結果をまとめて資料を作成し,患者に渡している(図21).カウンセリングでは,患者と歯科医師・歯科衛生士の信頼関係を築くためによくコミュニケーションをとり,検査結果とCAMBRA(う蝕リスク評価システム)やOHIS(歯周病リスク評価システム,オーラルケア)を図19 基本的な診療の流れ.初診カウンセリング(1h),緊急処置診査:基礎資料の収集(2h)総合診断・結果説明(1h)治療計画の立案・コンサルテーション(1h)初期治療再評価確定的外科処置補綴治療メインテナンス図20 検査項目.図15 ₃の口蓋側.歯肉が腫脹しプローブで触れると出血するため,歯面の観察が困難である.患者にこの写真を見せ炎症があることを説明し,口蓋側歯頸部への歯ブラシの当て方と適切なサイズの歯間ブラシの使用を指導した.図16 約1か月後.歯肉の腫脹と出血が改善され,歯面の状態を明視野下で確認できる.図17 歯面や歯肉を傷つけることなく効率よくプラークを除去するために歯間ブラシのサイズ選びが重要である.筆者はクラプロックス歯間ブラシ(ヨシダ)を患者に勧めている.ICPプローブにて歯間のサイズを計測する.図18 計測した色の歯間ブラシを使用する.15171618・エックス線写真撮影 (パノラマ,デンタル,CT,セファロ)・写真撮影(口腔内14枚法,顔貌)・歯周組織検査・OHIS(歯周病リスク検査)・唾液検査・CAMBRA(う蝕リスク評価)・生活習慣アンケート・診断用模型印象採得・咬合採得(CR・ICP)・フェイスボウトランスファー検査項目

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