インプラントYEARBOOK 2018
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Straumann®デンタル インプラント システムClinical ReportStraumann®インプラントの特長を活かした外科処置の選択中村茂人(Nakamura, Shigeru)(東京都中央区開業:デンタルクリニック アレーズ銀座)所属・役職日本臨床歯科医学会会員,日本臨床歯周病学会会員,日本歯周病学会会員,日本顎咬合学会会員,OJ会員,ITIメンバー,東京SJCDStraumann®インプラントの性質と進化 Straumann®インプラントは,表面性状の評判が良く,安心できるインプラントとしてシェアの多いことは周知のとおりである.インプラントの撤去率や残存率,インプラント周囲炎に対する罹患率からみても良好な成績が得られている1,2).筆者が15年近く前に活用していた際には,ティッシュレベルインプラント(以下TL)とよばれる1回法インプラントのみであった.大臼歯部への適応としては,さまざまな点においてすぐれたインプラントであると実感していたが,当初は歯肉縁下の形態がすでに決められており,前歯部への適応が非常に困難なことが欠点であった. その後,ボーンレベルインプラント(以下BL)とよばれる2回法のインプラントが日本でも発売されるようになり,アバットメントとフィクスチャーのコネクションは,コニカル形状でプラットフォームシフティングのコンセプトが取り入れられた.そのためサブジンジバルカントゥアの形態で歯肉の厚みが操作しやすくなり,前歯部にも適応できるようになった.それらに加えて,細胞浸潤性の高い表面性状(SLA)から炭素化合物を生理食塩水の層でカバーするという化学的な変化が加わり(SLActive®),血液との濡れが向上したことで骨結合の期間を短縮できるようになった. また,2016年にチタンにジルコニウムを配合したRoxolid®が発売され,フィクスチャー自体の疲労耐久性が向上した3).これは,前歯部において唇側の骨板や隣在歯からの距離を考慮し,細いインプラント体を選択してもフィクスチャーとアバットメントの接合部の強度に問題が生じにくい.以上から,適応症例さえ間違わなければ審美領域の抜歯後即時埋入などにも優位性の高いインプラントに進化したといえるだろう.BL,Roxolid®,SLActive®インプラントを用いた咬合再構成症例 本症例は,咬合痛やセメントのウォッシュアウトによる二次う蝕などから抜髄を繰り返し,その後歯163163

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