インプラントYEARBOOK 2018
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 インプラント治療は通院が可能な患者を対象として発展し,歯科医院完結型を基本としてきた.それは,治療前のインフォームドコンセントにおいて,インプラントの予知性ついて歯科医院での定期検診および日常的な口腔衛生の重要性を強調してきたことでも明らかである.しかし,この考え方は患者がつねに健康かつ長期通院が可能であることを前提としたもので加齢変化の影響を過小評価し,われわれが現在直面している超高齢社会の実情に即応しているとは言い難い. 高齢者におけるインプラント治療では,単に年齢のみがリスク因子としてかかわるのではなく,患者の全身状態・合併症の評価およびライフステージの変化への対応が肝心である.超高齢社会を迎えたいま,以下の2つのケースを想定して治療にあたるべきであろう.1高齢者あるいは有病者に対してインプラント治療を施す場合2壮・中年期にインプラント治療を施し,年数を経て高齢期(有病化・介護化・超高齢化)へ突入した場合萩原芳幸 (Hagiwara, Yoshiyuki)日本大学歯学部付属歯科病院診療教授/同病院特殊診療部歯科インプラント科・科長緒言▼企画趣旨 現在,世界に先駆けて日本が直面している超高齢社会では,高齢者ひいては有病者が増加し続けている.その変化にともない,インプラント治療も従来のモデルから変更を余儀なくされつつある. 本稿では,『老年インプラント治療学』を念頭に置き,超高齢社会におけるインプラント治療の押さえておくべきポイントについて詳説を加える.(編集部)超高齢社会の インプラント治療は何が変わったのか ―高齢者・有病者を見据えた臨床的ポイント―超高齢社会の インプラント治療は何が変わったのか ―高齢者・有病者を見据えた臨床的ポイント―巻頭特集

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