パーシャルデンチャー治療 失敗回避のためのポイント47
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206第3部 メインテナンス編Ⅰ パーシャルデンチャーの人工歯が破折した患者が受診したらひとくちに人工歯の破折といっても,①人工歯の咬頭や切縁が欠けたもの,②人工歯が義歯床から外れ落ちたもの,③人工歯のそばで義歯床が破折したものと,その内容はさまざまです.しかし,厳密にいえば人工歯の破折は人工歯内部で破壊が生じる①だけで,②は人工歯の脱離,③は義歯床の破折です(図3-4-1).人工歯部の破損への対応は,①〜③の種類の見極めから始まります.Ⅱ 人工歯の脱離人工歯の脱離は臨床上頻度の高いトラブルです.硬質レジン歯の基底面はMMAレジンで,床用レジンと化学的に結合しますが,基底面にワックスやレジン分離材が付着していれば,結合強度は低下してしまいます.そこで図3-4-2に示したように脱離した人工歯の基底面を一層削除して新鮮面を出し,義歯床側はやや多めに削除し,両方の表面をデンチャープライマー(ジーシー)などの有機溶媒で表面処理したのち,即時重合レジンで人工歯を固定します.診療室でできる人工歯の破折の応急修理法~破折の種類を見極めろ~Maintenance Edition 4■「人工歯が折れた」といわれるトラブルの分類人工歯付近での義歯床の破折義歯床からの人工歯の脱離人工歯自体の破折abc図3-4-1a~c 人工歯が折れたといわれるトラブルには,a:人工歯自体が破折したもの,b:義歯床から人工歯が脱離したもの,c:人工歯のそばで義歯床が破折したものが含まれる.修理に際しては,まずその種類を見極めることが重要である.

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