下顎総義歯吸着テクニック ザ・プロフェッショナル
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フラビーガム症例における上顎個人トレーへの仕掛け☞顎堤形態が良いほど、トレーの床縁は薄くなり、顎堤吸収が進行しているケースほど、トレーの辺縁は厚くなる。失われた組織量に合わせたトレーへの厚みの与えかたが重要である。簡単症例で紹介したトレー前歯部床縁を厚く作ることで、義歯床の上前方への動きを減らす翼突下顎ヒダに向かうようになだらかな カーブを描く簡単症例難症例図19 フラビーガム症例における上顎個人トレーへの仕掛け。 概形印象模型への個人トレー設計線の描記手順は、顎堤形態が良好な簡単症例も、不良な難症例もほとんど同じである。違いは前歯部の頬舌部の設計線だけである。トレーの設計線がつねに一定であることは、学びやすさを高め、ラボ側のエラーも少なくすることができる。④下顎模型のリリーフ 下顎の顎堤形態が不良な場合は、リリーフする部位を歯科医師と相談して、より慎重に行うべきである。被圧変位性に乏しい部位は義歯が沈下しづらく、逆に、被圧変位性をの高い組織に義歯は容易に沈み込む。下顎吸着総義歯の成功のためには、硬い組織をリリーフし、義歯床全周囲を軟らかい組織に沈み込みこませることで吸着がより確実なものとなる(図21)。Part596

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