臨床で困らない歯内療法の基礎
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治療のStep-by-Stepで理解する! 臨床で困らない歯内療法の基礎垂直加圧充填の臨床工程1)使用材料選択 ガッタパーチャポイント,シーラー,ヒートキャリア,およびプラガーを使用する.ヒートキャリアはスプレッダー型の金属製器具で,火焔で熱し根管内のガッタパーチャを加熱するのに用いる.自己加熱型の専用装置もある.プラガーは各種サイズを用意する.プラガーは加熱により軟化したガッタパーチャを加圧するのに使用するので,火焔で熱してはいけない.ガッタパーチャポイントには,ダウンパック用のマスターポイントとマスターポイントを刻んだバックパック用の小片を用意しておく.2)術式図8-29 根尖部を充填するダウンパックと,残余の根管を充填するバックパックの2つのフェーズで根管充填を行う.根管形成の終了した根管に対して,最初にダウンパックを行う.図8-30 シーラーとともにマスターポイントを挿入する.「バーティカル(垂直加圧充填)はシーラーを使わない」といった迷信があるが,そんなことはなくきちんと使用する.図8-31 ヒートキャリアで根管口付近のガッタパーチャを温める.図29図30図314垂直加圧充填(vertical condensation method) 側方加圧充填に対して垂直加圧充填といわれるが,正式にはwarmed gutta-percha method(加熱ガッタパーチャ法)という.1967年にH. Schilder3によって考案された.シルダー法ともいう.Schilderは現在主流となっているテーパーのついた根管形成を提案し,主根管のみならず側枝までもきれいに清掃された根管系(root canal system)に,加熱ガッタパーチャ法で緊密に根管充填できることを示した.加熱ガッタパーチャ法自体は,さすがに歴史を感じさせる方法であるが,その発展型であるcontinuous wave of obturation techniqueの基となる考え方である. 日本で垂直加圧充填というとオピアンキャリア法が有名であるが,この方法は加熱ガッタパーチャ法を独自の解釈で簡便にしようとしたものである. 以下,図8-29~39に加熱ガッタパーチャ法の術式を解説する.162

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