DIGITAL DENTISTRY YEAR BOOK2017
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29プロセスにおける前歯部の外観を再設計することは、たいへんな努力を必要とする。なぜなら、第一には、患者のスマイルの特徴を変化させ、第二に、患者の審美的願望を機能的・構造的および生物学的枠組みの範囲内に収めなければならないからである。 これらのすべてを踏まえて、スマイルデザインの成功には良好なコミュニケーションが不可欠である。もし、患者のスマイルの審美的修復が多職種からなるチームによって成し遂げられるのなら、希望された結果を達成するためには、それぞれのチームメンバーどうしに治療のゴールが明確に伝達されなければならない。とくに、スマイルのイメージチェンジをする場合、患者とのコミュニケーションを増やすのが賢明であり、そうすることで、インフォームドコンセントを行うだけでなく、インフォームドディシジョンを作ることもできる。これは、治療過程で患者のモチベーションおよび関わり合いを向上させるのに役立つ1。 このように、デジタルテクノロジーはスマイルの審美的修復の成功において不可欠な支援ツールである。最初に、それらを使用して、望ましい最終結果のバーチャルセットアップを設計することができる。このバーチャルセットアップは、望ましい最終結果をもとに開始され、そこから振り返って段階的な治療計画を立案することに用いることができる。このアプローチは、より予測可能な方法で望ましい最終結果を達成することを可能にする。同時に、デジタルシステムによって、歯科医師は、フォローアップの範囲内で、治療結果を経時的にチェックし、評価することができる。数年前に、口腔内スキャナと特殊な3Dマッチングソフトウェアを使用した3Dモニタリングと品質管理の最初のコンセプトが提案された2。スマイルデザイン 一般的に、スマイルデザインは目に見える範囲の前歯部の審美修復として定義される。実際のスマイルデザインの過程は、必要とされる初期治療が終了してからのみ開始することができることはいうまでもなく、どのような状況でもそうするべきである。さらに、口腔内の見えない領域の歯も治療計画に組み入れなければならない場合もある。スマイルデザインの目標は、つねに歯と歯肉や顔面との調和を特徴とする理想的な前歯部審美を達成することである。 スマイルデザインプロセスの最初のステップは、患者のスマイル時の顔貌のデジタル写真を撮影することである。あるいは、デジタルフェイシャルスキャナーの使用も可能である。これらの画像は、審美基準(2D顔貌分析)にしたがって、二次元的に症例を評価するための基盤として役立つ。目に見える前歯部の2D顔貌ガイド用スマイルフレームが作られ、望ましい最終結果(すなわち最終修復物)のモックアップを製作するための3Dモデルに転送される。 さまざまなスマイルデザインのコンセプトやシステムが利用できる。正確な手順はシステムによって異なり、システム依存の違いなどの詳細は、後に記述する。まず、スマイルデザインプロセスの基本的なステップについて述べる。写真/動画の記録 患者のデジタルイメージはスマイルデザインを開始するために必要とされる。規格化された写真は一般的にデジタルカメラを用いて取り込まれる。しかし、現在の傾向は、個々のフレームの画像をスクリーンショットとして撮影後、エクスポートする方法から動画を作成する方法へと移行した。すべてのスマイルデザインシステムに共通する特徴は、スマイルは顔全体の状況を踏まえて評価されることである。それゆえ、すべてのスマイルデザインコンセプトは、自然なスマイルをした時の患者の顔貌の正面観を必要とする。また、患図₁ 明確な基準線と関わる顔貌の正面観への線の印記。

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