歯内療法の迷信と真実
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90側方加圧根管充填と垂直加圧根管充填の結果の違いPeng L, Ye L, Tan H, Zhou X. Outcome of root canal obturation by warm gutta-percha versus cold lateral condensation: a meta-analysis. J Endod 2007;33(2):106-109. (文献5)【研究の目的】 側方加圧根管充填法(症例5-1-2)と垂直加圧根管充填法(症例5-1-3)のどちらが予後はよいのかを、各種論文をメタアナリシスにより検討した。【研究デザイン】 メタアナリシスによるシステマティックレビュー【材料および方法】 MEDLINE(1966〜2006)、The Cochrane Library(Issue 4, 2005)、EMBASE(1984〜2006)、SCI(1995〜2006)、CNKI(1994〜2006)のなかから、ヒトに関するウォームガッタパーチャー法と側方加圧根管充填法の比較研究に関わるランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trials)と非ランダム化比較試験(CCT:Clinical Controlled Trials)の論文を選択した。<選択条件> 以下の①~③のとおりである。①不可逆性歯髄炎と根尖病変を有する失活歯②再治療歯は含まない③臨床症状とエックス線写真により評価<除外要件> 以下の①~⑤のとおりである。①貼薬や予備的貼薬は含まない②in vitroの実験や再治療は含まない③ウォームガッタパーチャー法と側方加圧根管充填法の比較研究のないもの④治癒率記載がないもの⑤フルテキストでないもの ウォームガッタパーチャー法と側方加圧根管充填法の比較研究に関するデータは、術後疼痛・長期予後・根管充填の質・オーバーエクステンションであり、これらを調査した。また論文から、著者名、発表年代、症例の年齢、症例数、観察期間、失敗の期間、コントロールの数を抽出した。 2人の観察官により選ばれた論文をJadad et al(1996)6のスケールを用い、①ランダム抽出か?②ダブルブラインドであるのか?③研究期間中の中断患者や中止患者に関する記載があるのか?を確認し、最初の1と2の質問のスコアには0〜2の範囲で、3の質問には0〜1のスコアを与えた。【評価方法】 術後疼痛の定義として、術後12時間から48時間までに発生した中等度から重度の疼痛と腫脹をフレアーアップと定義した。抜歯された症例や術後疼痛の継続的な存在、根尖性歯周炎の存在は失敗とした。 また、レントゲン的根尖からガッタパーチャーの断端までの距離が2mm以内をフラッシュとし、根尖から飛び出ている場合をオーバーエクステンションとした。 メタアナリシスは、コクランライブラリーのRevMan 4.2.8を使用した。ウォームガッターパーチャー法と側方加圧根管充填法の関連リスクと95%信頼区間は、得られた情報から算出された。【おもな結果】 21論文から11論文が除外され、最終的に10論文が選ばれた。オーバーエクステンションに関して、ウォームガッタパーチャー法のほうが側方加圧根管充填法よりも有意に高かったが、これ以外の項目では統計学的有意差はなかった。

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