インプラントのための軟組織マネジメントを極める
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信藤孝博微小循環のモルフォロジー─軟組織移植の生着過程を探る─実験方法 雑種成犬の角化歯肉内に6mm正方の受容床を作製し、反対側より同じ大きさの移植片を採取し移植した(図1)。移植領域はパック保持装置により完全に保護した(図2)。各実験期間にSEM用血管鋳型標本、TEM標本および組織標本を作製し観察を行った5、6)。組織所見と臨床所見との比較考察:受容床と移植片 図3は20年前の症例で、Cohenの書籍25)の手順に則って、受容床を作製した。受容床血管は骨面上の静脈性の毛細血管網であることが理解できる(図4)。また採取された移植片はその厚さ(1〜1.25mm)から青色のラインで示すような上皮下毛細血管網と骨膜上血管網との交通枝で切断されたことになる(図5)。 移植直後:移植直後の臨床所見で受容床との適合が悪いタイオーバーテクニックや歯槽粘膜と単純縫合された部分が矢印のように確認される(図6)。図7は移植直後の組織所見である。 術後2日:組織所見のように移植片上皮はいったん壊図3 歯槽粘膜を切開後、根尖側に移動し骨膜縫合を行い半月状に受容床を作製する。図4 作製された受容床は、実験動物の血管鋳型標本から静脈性毛細血管網であることがわかる。(×50)図5 移植片が1mm程度で採取される場合、ラインで示される上皮下固有層血管と骨膜上血管の交通枝あたりで切除されたことになる。(×50)図6 移植直後の臨床所見、近心のタイオーバーの縫合が不適切で移植片の近心では可動性の歯槽粘膜と縫合されている。図7 移植直後の組織像。(H-E染色、×3.5)図8 移植片上皮(E)が壊死し剥離している。接着部のフィブリン層には多くの細胞の集合像(*)が認められる。(VanGieson染色、×50)図9 接着部フィブリン層の割断面。フィブリン網中に血球や免疫細胞の集合が見られ、フィブリン網が足場となっている。(SEM、凍結割断標本)図10-a 受容床の既存血管壁から新生血管の出芽が認められる。(SEM×200)図10-b 低倍で確認すると新生血管がつながり、血管樹を形成している。(SEM×50)*E57

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