インプラントのための軟組織マネジメントを極める
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シンポジウム2The Pink Esthetics─天然歯との調和を目指して─瀧野裕行(Hiroyuki Takino)*1 都築優治(Yuji Tsuzuki)*2*1京都府・タキノ歯科医院*2京都府・Ray Dental Laborはじめに 現代の審美修復治療の中で、インプラントを用いた欠損修復はその一部としてカテゴライズされており、特に審美領域においては天然歯修復同様に高い修復結果が要求されている。しかし、歯冠審美の再現のみならず、インプラント周囲組織との調和を図りながら適切な歯肉ライン・豊隆・歯間乳頭の高さなどの左右対称性を重視し、健全な天然歯列に見る自然美を再現することは決して容易ではない。これはまさに、“天然組織への飽くなき挑戦”だと言えるだろう。 そこで本稿では、インプラント修復治療における「歯肉審美の再現」にテーマを絞り、外科的難易度・手法の異なる症例に対して、歯科医師と歯科技工士がいかに共通認識のもとアプローチを行うか、おのおのの立場からの配慮とチームワークアプローチによるいくつかの臨床実践を供覧したい。歯肉の審美性 まず、歯肉審美の大まかな定義付けとして、①炎症反応がないこと、②左右が対称的であること、③自然なバランスの中で調和がとれていることの3つが挙げられる。また、Furhauser1)やBelserら2)によって提唱されている歯肉の審美評価項目は、審美領域における治療対応の目指すべきガイドラインとなっている(表1)。Gingival framework design 次に、大局的に歯肉形態を評価する方法としてGingi-val frameworkに着目したい。その際、Regular type・Irregular type・Flat typeと歯肉形態を3つに分類(図1)し評価する。インプラント修復治療は欠損により硬・軟組織の吸収を引き起こすためIrregularやFlat typeの形態となりやすい。その中でもIrregular typeはもっとも審美的に支障をきたすので、適正な歯肉設計を行うためPink Esthetic ScoreWhite Esthetic Score①近心乳頭①歯の形態(アウトライン)②遠心乳頭②歯のサイズ③軟組織マージンの高さ③排列状態④軟組織カントゥア④色(明度・彩度・色相)⑤歯槽隆起⑤表面性状⑥軟組織の性状⑥歯の透明度、内部構造⑦軟組織の色調⑦光沢度Regular typeIrregular typeFlat type図1 Gingival framework(歯肉縁形態が織りなす連続性)のタイプ別による分類。表1 Pink & White Esthetic Score(文献1、2より引用・改変)42

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