インプラントのための軟組織マネジメントを極める
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シンポジウム1はじめに 抜歯を行うと術前の歯槽骨の状態、もしくは抜歯時に行われた処置に応じて歯槽堤は吸収する。また可撤性義歯の長期使用によっても顎堤は吸収していく。顎堤が縮小すればそれを被覆する角化歯肉を含んだ軟組織の表面積(軟組織の量)も減少しているのではないだろうか。骨増生によって歯槽堤を増大する場合、可動粘膜領域の骨膜を切開し減張することによって、移植された骨や設置された膜を被覆される処置が行われるが、この処置では失われた角化組織を増やすことはできず、縫合方法によってはさらに減少してしまう。 メンブレンが設置された場合、それを被覆する軟組織も減少する可能性があり、特に軟組織が薄いケースではインプラント周囲の骨吸収量が増加することも報告されている1)。したがって、特に審美領域の吸収した顎堤を再建するには、軟組織の量と質の改善が不可欠である。 一方、近年は結合組織のドナーサイトに対する知見が深まり、質の高い結合組織が患者の負担を減少させつつ、効果的に採取できるようになり、インプラント周囲の軟組織マネジメントの可能性が広がったと考えられる。本稿では、軟組織マネジメントの有効性と、軟組織増生術を成功させるためのポイントとして結合組織採取の技術を、術者とアシスタントの連携を含めて解説したい。図1、2 メタルタトゥーによる着色と三次元的な歯槽堤の形態不良を骨増生と結合組織のインターポジショナルグラフトにより二次手術前に改善。図3、4 9mmの垂直的骨増生後に生じたMGJの移動を二次手術前にインターポジショナルグラフトで審美的に改善。図5、6 審美エリアにおけるインプラント間の歯間乳頭を二次手術前にインターポジショナルグラフトで軟組織増生を行うことにより再建。インプラント周囲軟組織増生手術における歯科医師&アシスタントの目からウロコのコンビネーション石川知弘(Tomohiro Ishikawa) 中山かおり(Kaori Nakayama)静岡県・石川歯科12345626

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