小児のエンド
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31診断基準と治療法ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ【  診査・診断  】(6)歯髄壊疽【臨床所見】 主訴は一過性の咀嚼時の疼痛があり,不快な症状を訴える場合がある.齲蝕による実質欠損を認め齲窩の深さは歯髄まで達している.軟化象牙質は湿性状態で,打診は垂直および水平ともに反応があり,温度診には反応を示さない場合が多い.歯周組織は正常の場合および炎症性の場合がある.エックス線診は歯根周囲に透過性を認める場合がある.電気診ではnon vitalを示し,電気抵抗値による判定では開放性が多く,仮性露髄性のものも認められる場合がある.【病理組織学的所見】 歯髄壊疽において,齲窩に汚染物質が停滞し,歯髄組織は汚い灰紫色を呈しており,核は崩壊消失し,組織の構造はまったく失われている.時に病変は根尖歯周組織まで波及している場合がある(図Ⅱ-9).【処置所見】 臨床診断による歯髄壊疽の病理組織像からみて,慢性潰瘍性歯髄炎の末期,あるいは壊疽性歯髄炎より歯髄壊疽へと移行しているものが多い.齲窩は大きく開放し,明らかに根管内にまで汚物が侵入しているのがみられる.一度エックス線検査を行い,乳歯根の吸収,歯根膜の状態また歯根分岐部の状態そして歯肉状態も精査し感染根管治療を行う.図Ⅱ-9 歯髄壊疽の病理組織像A:歯髄壊疽(①象牙質,②汚物介入,③歯髄壊疽)B:根尖部に至る歯髄壊疽(①象牙質,②汚物介入,③歯髄壊疽)C:根尖病巣を伴う歯髄壊疽(①象牙質,②汚物介入,③歯根病巣)ABC①②③①②③①②③

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