小児のエンド
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11乳歯の歯髄炎ⅠⅡⅢⅣⅤⅥ【  乳歯の歯髄炎  】2歯髄炎の要因 歯髄に刺激を与えることにより炎症を惹き起こす.その刺激は生物学的による細菌感染および非生物学的による機械的,温度的,化学的,放射線的刺激物質などが影響することが多い.このように歯髄炎は種々な要因で惹起するが,とくに多いのは齲蝕による細菌感染である.経過によって急性と慢性に分けられる.さらに歯髄内の炎症の拡大差によって,一部性(部分性)と全部性に,また歯髄が露髄しているか否かで,閉鎖性と開放性に別けられている.他に歯根尖部から感染する上行性の歯髄炎もある.(1)象牙芽細胞の傷害 齲蝕症,咬耗症,摩耗症,侵蝕症および他の疾患または象牙質に達する窩洞形成などの刺激が象牙芽細胞の原形質突起に刺激され,最初に象牙芽細胞が炎症に陥る.すなわち,歯髄の炎症は他の組織の炎症と同様に歯に強い刺激を与えると発生する. 一般的に結合組織刺激物質は急性滲出性反応(急性炎症)を惹き起こす.刺激が軽度の場合は反応が分散し,刺激が長時間持続すると反応は増大する(慢性炎症).結果は回復するか壊死に陥る.また関与する組織によって炎症は局部性か全部性になる.歯髄の炎症は止まることなく,一定の順序に従って進行する.急性および慢性炎症は種々な状況によって混在することもある.また急性から慢性になり,逆に慢性から急性になることもある(図Ⅰ-2).図Ⅰ-2 乳歯歯質の傷害が歯髄に与える影響(黒須らより)A:歯質の傷害と歯髄への影響(矢印)B:象牙芽細胞の減少(矢印)(Aの右矢印部の拡大)AB

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