逆根管治療の神髄
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79CBCTで何を観察するか?2 下顎に限らず,大臼歯部の逆根管治療にはCBCTによる術前診断が必須である.とくに下顎大臼歯部は皮質骨が厚く,CBCTによるガイドなしでは安心して手術を行うことはできない. CBCTは断層撮影することで,厚い皮質骨を有する下顎大臼歯部でも根尖部透過像を明確に診断することができ,デンタルエックス線写真では見えなかった病変を発見することもある(図1).根尖と病変との関係観察1図1 デンタルエックス線写真(a)とCBCT像(b)とでは情報量が大きく違うのは周知のことである(Case1の術前). 根尖が歯槽のどのあたりに位置するかは,手術の難易度に大きく影響する.隣在歯との三次元的位置関係,オ歯根の位置観察2トガイ孔の位置を把握することも重要な術前診査項目である6(図2,3).図3a 歯根断面が頬舌的に長く,歯根が舌側に位置する症例では,より近心に骨窩洞を便宜拡大しないと舌側根管を直視できない.CBCTによる歯根断面像.近心に骨窩洞を広げる必要があるが,₅の歯根が近接している.図3b 骨窩洞形成時に₅の歯根を一部露出させてしまった.図3c 歯根断面を直視(断面はセーブルシークで染色).舌側の根管が近心に見えることに注目していただきたい.図2a  ₆の近遠心根が根管の閉鎖により根管治療できない症例を逆根管治療する.術前近遠心断像.根尖病変の大きさ,オトガイ孔との距離が明確にわかる.図2b 断面像から歯根は頬側にあり,₅の歯根からも距離があるので施術が容易であることがわかる.図2c 実際の歯根断面.CBCT断面像(b)が実像とよく一致している.図2a図2b図2c図1a図1b図3a図3b図3c

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