逆根管治療の神髄
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72 上顎第一大臼歯近心根への逆根管治療はGPにも可能かと思われるが,いくつかの条件が必要である.GPが対応できる外科処置か,専門医による処置が適当か3図27 十分に術野を確保することで,その後の処置をスムースに進めることができる. 大臼歯の逆根管治療を行う前に,逆根管治療の原則を十分に理解している必要がある.そのためには前歯部での経験があることに加え,フラップ手術の手技に慣れていることが大事である(図27).外科処置に慣れていること条件1 逆根管治療において,切開から縫合まですべての過程はマイクロスコープ下で行われる.倍率も低倍率から高倍率までが必要で,治療の記録もできるマイクロスコープが必須である(図28). 根管の断面形態,根尖や病変部の上顎洞との位置関係,頬側骨の厚みなどを三次元的に把握することで安心して逆根管治療を行うことができる(図29). 適切なフラップの設定,最小限の骨削除,3mmルール,逆根管充填材の選択,正しい縫合の方法などを予め学習すること.歯科医師がこの処置を正しく習得する機会はなく,自己流の処置がほとんどである.逆根管治療の成功率が低いのではなく,自分の手技が間違っていることに気づくべきである(図30).自己流の処置は慎むこと図28 逆根管治療はすべての処置をマイクロスコープ下で,しかも直視する必要があるため,マイクロスコープには機動性が求められる.フォルダブルチューブ(a),バリオスコープ(b)は手術時のポジショニングの可能性を広げてくれる.図29 CBCTによる術前診査で安心して逆根管治療を行うことができる.図30 SATELEC社レトロチップEndo-success Apica Surgery.これまでの先端が3mmのチップに加え,6mm,9mmのチップがある.図28a図28bマイクロスコープを使用すること条件2CBCTによる術前の診査が可能なこと条件3条件4

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