咬合のサイエンスとアート
5/6

408第11部 Ⅱ級とⅢ級および他の不正咬合の修復治療垂直被蓋の増大骨格と前歯の咬合関係,垂直的被蓋の増大,過蓋咬合偏心運動時の誘導臼歯部咬合支持咬合高径個々の臨床的決定因子の影響垂直被蓋の(自然)増加を維持前歯と犬歯の急こう配な咬合誘導.前歯にかかる大きな負荷に対し,それを十分支えうる歯と歯槽骨が必要.金属による口蓋側被覆,金属のダウエルポストとコア,長いフェルールなど,修復治療の際は注意が必要.Dahlの原則に基づく,より大きな修復スペースの確保32-35従来どおりもし,すべての歯列を修復する必要がなければ,生来の咬合高径を維持.DahlかHawleyの装置による臼歯の挺出で,前歯の修復スペースを確保32-35適切な骨量.歯冠と歯根の強度.審美的要求偏心運動時の前歯部の回転モーメントを軽減するために咬合挙上上顎前歯の平坦な誘導は維持前歯の垂直被蓋を減少させ,誘導を緩やかにするために咬合挙上支台の配置歯槽骨の状態咬合挙上に対する反応咬耗,修復された上顎の支台には大きな負荷がかかる.歯ぎしりをする患者においては,重度の咬耗を伴う破折のリスク 外傷性の被蓋,Soft Centric,重度の垂直被蓋の増大,下顎前歯の口蓋歯肉,口蓋粘膜のへのわずかな突き上げ外傷性で,咬合支持のない場合.下顎前歯の口蓋への突き上げ.下顎前歯を短小化,犬歯・小臼歯との連結固定による咬合支持の回復.可撤性の咬合挙上装置(Overlay type)軽度.咬合支持がなく,閉口時に下顎前歯が上顎歯肉付近に噛みこむ安定している場合は,そのまま経過観察.不安定ならば,コンポジットレジンまたは接着修復によって咬合支持を回復MI(最大咬頭嵌合)の安定性を維持咬合高径を維持中等度.下顎前歯が上顎歯肉に噛みこむ(歯周治療の対象)下顎前歯を削合,または咬合支持をしている犬歯・小臼歯との連結固定によって挺出を防止MIの安定性を維持審美性と発音機能に関する要求,患者側の不快感,睡眠時のナイトガードとしての咬合挙上副子の提供,可撤性の装置が受け入れられるか否か上顎の可撤性部分床義歯か金属製の咬合挙上装置を装着必要に応じて咬合挙上副子可撤性の装置によるわずかな咬合挙上上顎前歯のクラウンに金属製あるいはジルコニア製の口蓋側面を適用.下顎前歯を削合,あるいはわずかな咬合挙上従来どおりDahlあるいはHawleyの装置によるわずかな咬合挙上(臼歯の挺出を期待),または前歯列の歯冠修復重度.下顎前歯が口蓋に噛みこむ咬合挙上を行う場合は,下顎前歯を咬合支持のある犬歯・小臼歯と連結固定下顎前歯の削合,またはDahlの原則に基づくクリアランスの確保が不可能ならば,全歯列の歯冠修復による咬合挙上顎関節症または歯ぎしりの症例では,スタビライゼーションスプリントを使用装置による咬合挙上に対する馴化矯正治療の対象.場合によっては外科矯正の対象.矯正によるレべリングは行うべき18-23 患者の年齢,健康状態,および承諾図11-2a,b Ⅱ級関係における重度の過蓋咬合の場合,前方運動時には犬歯または第一小臼歯,あるいは犬歯と第一小臼歯の両方が接触する.図11-3a〜c 前方運動時にポステリアディスオクルージョン(臼歯離開咬合)するように咬合を付与したⅡ級1類の治療症例.a,b:矯正による前歯の拡大.c:下顎前歯の前方傾斜による前歯部接触と誘導を付与したが,一方で支台歯に対するねじれモーメントは増大することになる.この時,下唇のリップサポートが獲得できるという利点も出てくる.表11-2 Ⅱ級2類の修復治療の考慮事項abcab

元のページ 

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です