咬合のサイエンスとアート
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27チンパンジーからホモ・サピエンスまで現代のチンパンジーゴリラパラントロプス・ロブストスホモ・ハビリスホモ・ネアンデルターレンシスホモ・エレクトスホモ・サピエンス初期現代パラントロプス・ボイセイサヘラントロプス・チャデンシスアウストラロピテクス・アファレンシスチンパンジーからホモ・サピエンスまで ある生物の種がクレード(共通の祖先から進化した生物群)か,またはヒトの進化にみられる先祖の木から枝分かれしたものなのか,化石の記録によって想像することができる(図2-1-26).ヒトの進化に関する議論以下のとおりである.すなわち,ヒトがチンパンジー・ボノボの祖先から分かれ出現したのは,おおよそ600万年前から500万年前で,東アフリカとアフリカサバナ(中央アフリカ)地方と考えられている42,43.顕著なヒト科の特徴は,二足歩行であるということ,犬歯が発達していないという特徴で定義される.320万年前に生息していたと思われるアウストラロピテクス-アファレンシスの骨格,ルーシー42(アファール猿人)が発見されて以来,より古いヒト科の化石がチャド,ケニア,エチオピアで発見されてきた.それらの発見は,ヒトがはじめて出現した記録を700万年前まで広げた44. ヒト科の化石による記録から種の多様性は,ヒトの進化の過程における後期の間に多くが変化していったことがわかる.古人類学者の間では,700万年前から450万年前に現存するわれわれの種の最初の半数が現れたとする説に,まだ論争がみられる.いくつか信じられていることとして,700万年前から300万年前の化石のすべてに,同じ進化の系統的特徴が一致している.またこれらの化石資料は,異なった系統を明らかにしているだけでなく,さらに発見されると思われるヒト科のさらなる多様性を示す可能性までも示唆している43.ABCEGHFDA図2-1-25 ヒト科と類人の歯列.進化した類人は,犬歯が小さくなる.初期のアウストラロピテクスは,歯の数が多かった.CからHまでのヒト族の頭蓋を観察すると,歯列には現代人がもつ歯のバリエーションの一般的な並び方に,さほど違いはみられない.A:類人猿.B:アウストラロピテクス・ボイセイ(200万年前).C,E,F,H:ホモ・サピエンス(ヒト科はすべて大きな類人猿である).D,G:ネアンデルタール人.図2-1-27に類人の分類を示す.図2-1-26 推論的なホモ・サピエンスの系図.もっとも古く発見された化石は,約700万年前のものである.類人猿から,チンパンジー,そしてアウストラロピテクス・アファレンシスまでをたどった系図で,いくつかの枝がみられる.進化の過程は,連続的に進行するよりむしろ曲折があり,多くの側面をもった経過がある.異なったクレード(共通の祖先から進化した生物群)には,いまだいくつかの議論がある.現代のチンパンジーとゴリラは,対照的にみられる.アウストラロピテクス・アフリカヌス-7-6-5-4-3-2-1百万年現代

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