疾患別 歯科医療面接
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表1 先天性心疾患のタイプ疾 患歯科治療時 ・心室中隔欠損症・心房中隔欠損症・房室中隔欠損症・動脈管開存症・60~70%・日常生活に問題がない・通常の歯科治療が可能・ファロー四徴症・完全大動脈転位症・両大動脈右室起始症・総肺静脈還流異常症・単心室症・左室低形成・三尖弁閉鎖症・エプスタイン奇形・総肺動脈幹遺残・パルスオキシメータによる 測定と酸素吸入が必要(低 酸素状態を悪化させない)●観血的処置が感染性心内膜炎*1を引き起こすことがある  先天性心疾患患者では、観血的な歯科処置による菌血症によって感染性心内膜炎を引き起こすことがあります。 ●感染性心内膜炎予防のため、処置前に抗菌薬投与が必要 な場合がある  感染性心内膜炎の発症は、重篤な心疾患の患者だけでなく、治療の必要のない軽微な心疾患でも起こる可能性があります(P.13 表2参照)。医療面接により先天性心疾患の症状が確認されたら、内科主治医への確認と、必要に応じて処置前に抗菌薬の予防投与を行います(P.13 表3参照)。●後天性心疾患 後天性心疾患とは、生まれつき心疾患である先天性心疾患に対して、出生後にかかる心疾患のことをいいます。後天性心疾患には、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患、心筋症・不整脈・心臓の弁の異常、川崎病の合併症として起こる川崎病心血管後遺症などがあります。 大人の後天性心疾患で最も多いのが、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈に起こる冠動脈疾患です。この疾患は、何らかの原因で冠動脈に狭窄や閉塞が起こり、その血管が血液を供給している心筋が壊死するもので、虚血性心疾患とも呼ばれています。一方、小児では、リウマチ熱の後遺症によるリウマチ性心疾患(主に心臓弁膜症)や川崎病の合併症による冠動脈疾患があります。非チアノーゼ性心疾患チアノーゼ性心疾患*1:血液を介して心内膜や弁膜に細菌の感染が起こったもの。感染巣を生じた部分では、弁膜の破壊や敗血症が起こり心不全や塞栓症となる。 患者さんに聞きたいことをチェックリストで確認しましょう!初診時の問診では2動悸、息切れはありませんか?運動制限はありますか?不整脈はありませんか?チアノーゼがみられることはありませんか?ばち状指や蹲踞の姿勢(運動時にしゃがみこむ)がみられることはありませんか?過去に心臓の手術を受けたことがありますか? あるいは受ける予定がありますか?心臓ペースメーカや植込み型除細動器が植込まれていますか?現在、薬を服用していますか?血液をサラサラにする薬を飲んでいませんか?感染性心内膜炎という病気になったことがありますか?抜歯や手術などの際に注意するようにハイリスクカードを受け取っていませんか?図2 ハイリスクカード 26

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