患者さんの不安・疑問に答える
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7章 口腔外科治療への対応口内炎が1か月以上も治らない.がんの心配はないか?114 ひとくちに口内炎といっても,その病態はさまざまです.単純にアフタ性口内炎,もしくは義歯による褥瘡性潰瘍,炎症性疾患,ウイルス性口内炎,などが想定されます.しかし1か月以上治らない場合には,全身性疾患に由来するもの,悪性腫瘍の病態のひとつ,なども想定されます. 診療の進め方としては,その口内炎をよく観察し,形態,色,性状,境界,などを確認し,次に触診により,周囲の硬結,接触時痛の有無,関連する原因疾患などを確認します. とくに不整な補綴物,鋭利な突起物,適合しない義歯などの歯性要因による潰瘍性口内炎は臨床的にも頻度が高く,最初に対応すべきものと考えます.また,稀に歯内療法に使用した薬物の漏出なども原因となりうるので要注意です. 処置は,これらの原因を追及して,要因と思われるものを除去し,経過をみます.通常,1〜2週間で治癒傾向を示します.これでも改善しない場合は,何らかの新生物を想定し,各種画像診査,細胞診,組織診,による確定診断および全身的な精査を行います. 自分の診療所,施設で対応不能と判断したら,早めに連携する医療機関に紹介することが大切です. なお日頃から,う触,歯周病などの歯性疾患だけでなく,口腔粘膜を観察する習慣をつけておくとよいでしょう.患者対応ポイント最初から,安易に良性・悪性の判断は行わない.いわない治らない原因と思われる責任疾患を探す.該当するものがあれば,それを除去して経過をみるそれでも治らない場合は,最終的な診断は病理検査が必要となる治療が自分の力量で完結できる範囲かどうかを判断する日頃より連携できる高次医療機関を持っておく外木守雄口内炎が1か月以上も治らない.がんの心配はないか?

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