患者さんの不安・疑問に答える
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3章 保存修復・歯内療法への対応ボンディング材の飛散で歯肉が白変してしまった40 近年の歯質接着材は,臨床手順の簡略化が進み,臨床現場ではいわゆるワンステップ接着システムが主流を占めています.商品名こそ「ボンド」となっていますが,どれも酸性成分を含んでおり,歯肉や粘膜に長時間触れると白変が起こります(図1).他にもリン酸エッチング材や2ステップ接着システムのセルフエッチングプライマーでも同様の変化が確認されることがあります. 口腔内での使用が認められている製品に関しては,基本的には重篤な炎症を引き起こすものはありませんが,患者さんは粘膜がヒリヒリする違和感や,食べ物が染みる,歯ブラシで痛むなど訴えることがあります. 万が一起こってしまった際は,すぐに患者さんに水で口をゆすいでもらい,患者さんに原因を説明し,1~2週間後の診査のアポイントをとります.粘膜組織の代謝により,ほとんどの症例では短期間で治癒します(図2). コンポジットレジン修復処置の際には,防湿の観点からもラバーダムを使用し,エアブローで飛散するプライマーやボンドが粘膜に触れないようにすることが推奨されます(図3) また,間接法修復の接着処置において用いるレジンセメント付属の歯質処理プライマーも同様に酸性を示すため,セット時にはラバーダムの使用が推奨されます(図4). 間接法修復物の表面処理剤もさまざまに開発されていますが,「口腔内使用禁止」のものもいくつか存在します.ボトルは似たものが多く存在していますし,歯質,修復物どちらにも使用できる製品も存在していますので,臨床では注意深く使用したいところです.患者対応ポイントワンステップボンディング材やセルエッチングプライマーはすべて酸性であるため,粘膜に付着するとコラーゲンが変性し白変するそのため使用時には必要量以上に塗布せず,またエアブロー時には必ずバキュームを近くに持っていく防湿という観点からも可及的にラバーダムを用いて修復治療を行うことが望ましい白変に気がついたら,患者さんに説明し1週間程度で治癒する旨を説明し,安心してもらう高垣智博ボンディング材の飛散で歯肉が白変してしまった

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