小児歯科デンタルホームYEARBOOK2016
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51特別寄稿 米国小児歯科の現状――デンタルホーム別冊 the Quintessence小児歯科・デンタルホームYEARBOOK 2016成人歯科医療への取り次ぎ提唱9患者のニーズに基づいた専門医の紹介提唱8食事指導提唱7正しい口腔ケアそして管理についての患者およびその家族への教育提唱6歯科外傷の対応提唱5患者年齢に対応したさまざまな口腔成長発達問題に関する予備知識提唱4ガイドラインに基づいた,予防から救急処置にいたる包括的な口腔ケア提唱1リスク判定結果に適し,かつ患者と保護者のニーズにあった予防プログラム口腔衛生そして口腔病リスクの総合的査定提唱2提唱3すべての子供が1歳の誕生日を迎える前にデンタルホームを構築図1米国小児歯科学会が提唱するデンタルホームにより提供されるべき9項目12.近年のデンタルホームの取り組みと現状 これまでのデンタルホームの取り組みは,主に歯科サービスへのアクセス向上を目的とするプログラムが主流であり,いかにそのサービスが包括的であるか,家族をセンターにおいて提供されているか,継続的であるかなどの他の要素においてはまだ着手していないというのが実情です.よって,いかにデンタルホームを総合的に評価するかというエビデンスやツールもまだ確立されていません. 歯科保険の公営-民営セクターの分離した制度があり,多民族が織り成す複雑な米国社会では,歯科医療へのアクセスの格差は最優先課題であるがゆえの事情が反映しているともいえます.歯科医療は米国でも個人経営の開業医により提供されるのが大半で(表1),各個人の小児歯科開業医によるデンタルホームへの取り組みは確実に拡大しているでしょう.しかし,多くの開業医は都市周辺の郊外に集中し,メディケイド(低所得者を対象とした公営医療保険制度)を取り扱わないなど,アクセスへの障壁は地域そして所得階級により存在します. 米国保険社会福祉省(US Department of Health and Human Services:HHS)が各地域で展開するヘッドスタート(Head Start / Early Head Start:HS/EHS)という低所得家庭の乳幼児と妊婦を対象にした総合的な乳幼児教育プログラムでは,入学より90日以内に歯科健康診断を受け,デンタルホームを確立するというのがプログラムのパフォーマンス指標の1つとして設けられていますが,多くのヘッドスタートプロ

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