小児歯科デンタルホームYEARBOOK2016
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50別冊 the Quintessence小児歯科・デンタルホームYEARBOOK 20161.デンタルホーム(Dental Home)とは デンタルホームのコンセプトは,米国小児歯科学会(American Academy of Pediatric Dentistry:AAPD)により2000年代初頭に提唱され始め,小児患者,その保護者,歯科医師とそのスタッフ,そしてそれらを取り巻く小児医療,福祉,あるいは教育サービス従事者らが双方的にそして継続的に築く関係のなかに生み出される包括的で組織的,かつ家族をセンターに置いた切れ目のない歯科医療のあり方です1. もともと米国小児学会(American Academy of Pediatrics:AAP)が1960年代より提唱してきたメディカルホーム(Medical Home)というコンセプトを引用して歯科医療業界に紹介されましたが,メディカルホームが障害や慢性疾患をもつ小児患者の診療録統一管理の重要性を基に発祥した理想的医療のコンセプトであるのに対し,デンタルホームの場合は1歳児歯科検診そして予防を推進する概念として浸透してきたように思います. メディカルホームもデンタルホームも,指す物は医療提供者でも診療所でもなく,医療理念です. 現在,米国小児歯科学会は,すべての子どもが1歳の誕生日を迎える前にデンタルホームを構築し,①ガイドラインに基づいた,予防から救急処置にいたる包括的な口腔ケア,②口腔衛生そして口腔病リスクの総合的査定,③リスク判定結果に適し,かつ患者と保護者のニーズにあった予防プログラム,④患者年齢に対応したさまざまな口腔成長発達問題(例:生歯熱,指しゃぶりやおしゃぶり)に関する予備知識,⑤歯科外傷の対応,⑥正しい口腔ケアそして管理についての患者およびその家族への教育,⑦食事指導,⑧患者のニーズに基づいた専門医の紹介,そして,⑨成人歯科医療への取り次ぎが提供されるべきである,と唱っています1(図1).米国におけるデンタルホーム(Dental Home)の取り組みと展望飯田博子Diplomate, the American Board of Dental Public HealthDirector, the New York State Oral Health Center of ExcellenceAdjunct Faculty, Division of Community Dentistry, Eastman Institute for Oral Health, University of Rochester連絡先:259 Monroe Avenue, Lower Level, Rochester, NY 14607Hiroko IidaDental Home concept, its progress, and future directions in the US特別寄稿米国小児歯科の現状――デンタルホーム

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