イラストでみる口腔外科手術 第4巻
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顎矯正手術Down Fracture 以上の骨切り操作によって,上顎骨は下行口蓋動脈周囲の骨とpterygo-maxillary junc-tionのみで繫がっている状態になっている.ここでpterygoidオステオトームでpterygo-maxillary junctionを分離する.このときの刃先をpterygo-maxillary junction部にあてたら,刃を咬合面に対して口腔側へわずかに傾けると血管を損傷しない.またマイセルを槌打する際,決してマレットを打ち込んではならない. 続いてRoweのdisimpaction forcepsで口蓋側と鼻腔側から口蓋部の骨を把持し,ゆっくりと下方へ向かって骨折させ,Le Fort I segment(上顎)を可動化する(図24-96).またはセパレーターを骨切り部に挿入して徐々に骨折させることもできる.決して急激にdown fractureを行ってはならない.急激なdown fractureにより翼突上顎縫合部の抵抗の弱い静脈を損傷する恐れがある.動脈だけ生き残っても,静脈潅流がなければ血液は循環しない. 最近では翼突上顎縫合部の分離を行うことなく,セパレータを用いてゆっくりと上顎骨をdown fractureすることで,静脈の破断を避ける方法が用いられている.翼突上顎縫合部の結合状況によって適切な手法の選択により安全な手術が行える.図24-95 鼻中隔マイセルを用いた口蓋の骨と鋤骨の分離.図24-96 Roweのdisimpaction forcepsを用いたLe Fort Ⅰsegmentのdown fracture.213顎矯正手術

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