イラストでみる口腔外科手術 第4巻
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24CHAPTER 続いて上顎洞内の骨切りを行う.あらかじめエックス線CT画像から梨状口側縁と下行口蓋動脈までの距離を測定しておくことが重要である.鼻腔粘膜をぺリオスチールエレベーターで保護しながら鼻腔側から上顎洞へ向かって,reciprocating bone sawを用いて梨状口縁から下行口蓋動脈の直前まで上顎洞内側壁を骨切りする(図24-94).上顎骨のDown Fractureの準備 上顎骨のdown fractureを容易かつ安全に行う準備として,上顎結節部と上顎洞内側壁(鼻腔璧)の分離を行う.先端にストッパーのついた3本組のNeivert-Andersonオステオトームを用いて,上顎結節部からはストッパーが翼状突起にあたるまでオステオトームを挿入し,上顎洞内側壁ではあらかじめCT画像で確認しておいた距離までオステオトームを挿入する. down fractureの最後の準備として,鼻中隔の切離を行う.前鼻棘の先端からぺリオスチールエレベーターで鼻中隔軟骨を剥離すると,骨鼻中隔の肥厚部が現れる.この両側に切歯管の鼻腔側の開孔部があり,鼻口蓋神経と動・静脈が口蓋側と交通している.通常これらは切断し電気凝固止血して,鼻中隔マイセルを用いて口蓋の骨と鋤骨を分離する(図24-95).場合によっては鼻口蓋神経・動・静脈を温存して鼻中隔を切離することもできる.図24-94 reciprocating bone sawを用いた上顎洞内側壁の骨切り.212顎矯正手術

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