基礎から学ぶデジタル時代の矯正入門
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輪郭のブラケットになる。一方、マッシュルームアーチ形は、犬歯の領域で必要な一次補正を減少させ、なおかつ前と後のいくつかのスライディングメカニクスをある程度許容することができる。マッシュルームアーチは、ストレートワイヤーと個別対応型ワイヤーのアーチフォームの中間のソリューションである。個別対応型ワイヤー構造は、歯の舌側表面に可能な限りブラケットを近接させる。これにより生体力学と患者の快適性を両立させることができる26。ワイヤー平面とワイヤー立体配座が確立できると、ブラケットのカスタマイズが開始できる。ブラケットは、歯の舌側表面に近いが接触していない「ワイヤー」上にデジタル的に吊り下げられる(図9-7)。ブラケットから歯の舌側面までのもっとも近い距離は、予想されるカスタムパッドの厚さ以上、または同等である必要がある。経験的に、この最小距離は0.2mm以上であることがわかっている。カスタムパッドの設計の自由度は非常に高い(図9-8)。矯正歯科治療の真のカスタマイズ141図9-6 主な3種類のワイヤーの形状:ストレート、マッシュルーム、個別対応型(または理想化ワイヤー)。図9-8 咬合面被覆とコネクターが半分付いたカスタムベース。カスタムコネクターは、歯列を揃えるために使用される歯科技工指示書の大部分を占めている。ストレート型マッシュルーム型個別対応型図9-7 デジタルブラケットスロットとウィングは、デジタル上で「ワイヤー」に吊り下げられている。ワイヤー、ブラケットスロット、およびウィングは、カスタムブラケットベースとコネクターを製作するために使用される 「ツール」である。

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