基礎から学ぶデジタル時代の矯正入門
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また、矯正用アーチワイヤーの製作にはロボットツールが利用できるようになり、3Dプリンターでは、スキャンしたデータから直接装置やカスタマイズした矯正用ブラケットを「プリント」できるようになった5-7(4章、5章参照)。装置設計においても、専用の矯正CADソフトウェア(例:3 Shape Orthoanalyzer)により、バンド、メタルアーム、ワイヤーの設計がオペレーター主導で行われるようになった。本章では、「三角メッシュを扱う最先端のソフトウェア」と称されるMeshmixer(Autodesk社開発)という無料のCADソフトウェアを用いて、金属製および非金属製の装置の設計を説明する8。マニュアルはAutodesk社のWebサイトから簡単にダウンロードでき、すべてのツールのデモを収めたYouTube動画も公開されている。このソフトウェアは、一般的な使用を目的として設計されており、厳密には歯科や矯正歯科用ではないが、その性能は非常に高い。それにもかかわらず、歯科医や口腔外科医には使用されているが、矯正医にはあまり使用されていない9, 10。Blender、Rhinoceros、Apple Shapr3Dなど、他の多くの汎用CADプログラムも歯科用として使用できることに留意することが重要である。後者のアプリケーションの特徴は、画面上で描画するためのワイヤレスペンシルがあり、矯正器具のパーツを簡単に設計することができることである。Meshmixerをうまく使うには、矯正医は動画を見たり、マニュアルを読んだり、ツールや機能を試したりして、6 インオフィスカスタム装置設計従来の歯科医院72図6-2 従来の歯科医院からデジタル歯科医院への移行。デジタル歯科医院矯正歯科のデジタル進化デジタル革命の進展は、矯正医と歯科技工所との間の「伝統的な関係」を変化させる新しいツールの到来をもたらした2-4。口腔内スキャン(IOS)が可能になったことで、印象採得が不要になり、スキャンによって取り込んだデジタルデータは、矯正歯科医院でコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用してカスタム装置を設計した後、その情報を製作のために歯科技工所へ送ることができる(図6-2)。その代表的な例が、ペーパーレスクリニックである。これまでは、患者や医師、スタッフが診断やオフィスで使用する物理的な紙のフォームに手作業で記入する必要があった。これらは、ネットワークアクセスによりソフトウェア版に置き換えられ、物理的な紙はもはや必要がない。

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