考えるエンドドンティクス
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013レベルアップするための暗黙知非常に有効な練習方法です.そのためには抜去歯をよく観察して根管拡大の練習をすることが上達の近道です.根尖孔付近では97%の根管が弯曲している,つまり,ほとんどの根管は弯曲しているという認識をもつことができるでしょう.ファイルにプレカーブを付与することの意味や日本人の歯の平均的根管長を知ることもできます. 天蓋除去と軸壁形成後に根管口に#15ファイルを挿入し,きつくなったら,根管が弯曲しているためファイルが根管壁の外弯側に擦れていることをイメージします(図3-4).きつくなった部位を推定し,根尖孔までの距離を算出し,まずはラスピング運動で根尖孔の穿通を目指します.ファイルを強くねじったり,押して根管に傷ができると,レッジになり,その後の根管形成が適切に行えなくなります. ここで注意することは,ファイル上部が根管の軸壁と摩擦していないことです.ファイルが根管や歯冠部歯質の複数部位に接触していると指先に感じる触覚や圧覚はファイル先端部のみの摩擦によるものではないことを意味しています(No.13「軸壁形成」参照). #15ファイルでは根尖孔の穿通が困難と判断した場合,つぎに行う方法は2つあります.1つ目は,#10→#8→#6と号数の小さいファイルへと交換して根尖孔の穿通を目指すやり方です.ファイルを1号下げて根管に挿入したときに根尖孔方向へ近づいた距離から残りの長さを予測します. もうひとつの方法は,#15ファイルが進んだ位置図3-3a~d マイクロCTを用いた根管の拡大形成法の解析(測定幅40μm).図3-2 3DXを用いた根管の解析(測定幅250μm).図3-4図3-4 ファイルが根管壁の複数の部位と摩擦していることをイメージする.acbd

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