マイクロデンティストリーYEARBOOK 2014
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92おわりに マイクロスコープは拡大と光源によりさまざまな恩恵をもたらす.しかし,いくら拡大して観察しても「どこに何があるか」,つまり歯内療法であれば,解剖学的にどのような位置に根管が出現するか,発生率はどれくらいか,といった基本的な知識がなくては治療ができない.また,マイクロスコープ用に開発された器具はさまざまなものがあるが,どの場面でどの器具を使うか考えなくてはならない.そして,ミラーテクニックをはじめとするスキルを習得し,初めて治療ができると考えている. 今回の2症例はともにマイクロスコープを使わなければ治療できない症例であった.マイクロスコープでもっとも重要なのは基本である.若手歯科医師としてより良い治療をするために基本を磨いていく必要があると思われる.参考文献1. Fuss Z, Trope M. Root perforation : classification and treatment choice based on prognosis factors. Endod Dent Traumatol 1996;12(6):255‐264.2. Baugh D, Wallace J. Middle mesial canal of the mandibular first molar: a case report and literature review. J Endod 2004;30:185‐186.3. Krasner P, Rankow HJ. Anatomy of the pulp-chanber fl oor. J Endod 2004;30:5‐16.4. 柏村晴子,柳田健一,久保山博子,他.アペキシフィケーションにおける根尖孔閉鎖に影響を与える要因の臨床的検討.小児歯科学雑誌 2008;46(3):347‐353.図12a~d a:治療途中のDB根.根尖は破壊されており,#100以上拡大されている.根尖部にGPを認める.b:DB根以外の根管充填をしたときの根尖部.GPは除去され,出血を認める.c:8か月後.DB根の水酸化カルシウムを生理食塩水で洗浄後.根尖部には黒色の組織を認める.d:根尖部の黒色の組織をO・Kマイクロエキスカで除去すると,根尖部には白色の硬い組織を認めた.abcd図13 O・Kマイクロエキスカ.先端径が0.3mm,0.5mm,刃部角度が25°(0.3mmのみ),45°,80°,刃部の向きが左右と上下(UL)とさまざまな組み合わせがある.GPの除去や大きく破壊された根尖孔周囲の根管形成に役立つ.別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2014」PART3 Case Presentation多分野におけるマイクロスコープ活用術:エンド編③

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