GDS 総義歯の真髄
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792-1 精密印象のための理想的な個人トレーの製作方法2.個人トレー製作時の最大のポイント 個人トレー製作時の最大のポイントは、「義歯床縁にあたる個人トレーの辺縁部分の形態」である。適正な床縁の厚みを確保しなければならない部位(上顎:頬側・唇側の口腔前庭部および、下顎:パサモンティの切痕よりも前方の舌下ヒダの部分)における個人トレーの辺縁形態は、ボーダー部分に垂直的な圧力がきちんとかかった状態からボーダーモールディングする必要がある。 そこで、このような部位の個人トレー辺縁部は、縁端部において平らな面を有し、その幅に適正な厚みをもたせ、かつ最終義歯辺縁部よりも2~3mm程度短い(アンダーボーダーな)個人トレーを製作する。つまりは、義歯のボーダー部分に空間をもたせて製作することが肝要である。 また、Chapter1-3図6およびChapter1-4図4で既製トレーを改造した時と同じく、個人トレーにおいても口唇運動を妨げない目的でトレーに柄は付与しない。そして印象採得時の筋運動時に、口唇粘膜が内側に倒れ込み過ぎないようにするために、個人トレー上の人工歯が存在するであろう位置に“ロウ堤様のフレーム”を製作しておくことも重要である。これらのような工夫を個人トレーに細工しておくことにより、印象採得の術式は非常に簡単になる。 以下、上下顎に分けて具体的な個人トレーの製作方法を記述する。上顎のWatt Type GDSオリジナル個人トレー(GDSオートマティカリートレー)製作手順図1a~c まず、義歯床の概形線を模型上に記入する(詳細はChapter1-5を参考のこと)。次に、後縁以外は、この線より2~3mm短くなるように個人トレーの概形線(緑色のライン)を記入する。また、ハミュラーノッチより内側の上顎義歯後縁部は上顎義歯床概形線に一致もしくは1~2mm程度後方へ延長する。【上顎義歯床および個人トレーの概形線の記入】abc

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