GDS 総義歯の真髄
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78Chapter2Chapter2-1精密印象のための理想的な個人トレーの製作方法はじめに Chapter1では、総義歯製作における上顎・下顎の解剖学的知識を述べたうえで、「アルジネート印象材+既製トレー」を用いた最終印象採得法を解説、さらには材料を問わずに必要となる石膏模型への床概形線の記入方法を解説してきた。 本項からは、その床概形線の記入法を踏まえ、シリコーン印象+個人トレーを用いた精密印象採得法を述べていくが、本項ではまず、個人トレーの製作方法について解説してみたい。1.精密印象採得とは? 「歯科補綴学専門用語集」1によれば、精密印象とは元来、「補綴物を製作する目的で採得する寸法精度や表面精度などに優れた印象」で、最終印象と同義語とされている。 しかし、ここで筆者の述べる精密印象とは、「シリコーン印象材+個人トレー」を用いたその名のとおり“より精密な印象”であり、臨床的に「アルジネート印象材+既製トレー」を用いた最終印象と対比的に使用していることにご注意いただきたい。 さて、シリコーン印象材は、アルジネート印象材と比較して寸法安定性等で多くの利点をもつことは周知のとおりである。そしてさらに各患者固有の歯列・顎堤の形状に沿った適正な個人トレーを製作し、併用することにより、精密印象採得は可能になる。また、適切な形態が付与された個人トレーを製作することは、印象採得の術式をより簡単にするとともに、印象採得時のテクニカルエラーを最小限に抑えることにもつながる。

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