GPのための咬合誘導
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014■乳歯列完成期で生じている不正咬合(上段は子ども,下段はその親)図1a 乳歯列完成期の反対咬合.図1d 上図(図1c)の母親の口腔内.下顎前歯部,小臼歯部叢生.図1e 乳歯列完成期の臼歯部交叉咬合.顎偏位.指しゃぶりによる開咬.図1f 上図(図1e)の母親の口腔内.臼歯部交叉咬合.顎偏位.図1b 上図(図1a)の父親の口腔内.骨格性の反対咬合.図1c 乳歯列完成期の前歯部の叢生.健全歯列から不正咬合の“芽”を見つけるのは難しい 乳歯列期にすでに生じている不正咬合を見つけ,その乳歯列がその後どのような永久歯の不正咬合になっていくのかと予測・診断するのはそれほど難しいことではない.乳歯列期の反対咬合,叢生,顎偏位,開咬,狭窄歯列などの不正咬合はそのまま放置すれば,永久歯列でほぼ同様の不正咬合に移行していく(図1).また乳前歯の癒合歯や先天性欠如は永久前歯の先天性欠如または叢生を生じることが多く,乳臼歯の先天欠如やう蝕などによる早期喪失は,その後の永久歯列に大きな影響を及ぼす. しかし,健全と思われる乳歯列から不正咬合の“芽”を見つけ出すことは大変難しい(図2).乳歯列の多くは健全乳歯列であるが,永久歯列になると,なんと3人に2人(65.1%)が不正咬合に移行する(図3)1.それらの事実を家族だけでなく,一般臨床医(General Practitioner:以下GPと略)の多くも知らない.遺伝的要因が予測のポイント ではどのようにして,一見健全に見える乳歯列から不正咬合の“芽”を見つけ出せばよいのだろうか? 筆者は幼児の口腔内からではなく,家族の遺伝的な要因を把握し,そこから幼児の永久歯列を予測し,不正咬合になりそうな遺伝的要因がある家族にはあらかじめ説明をしている(図4).不正咬合は遺伝的な要素が大きいため,両親や兄弟姉妹,祖父母の顔貌や歯列の状態を熟知しておくことが大切である.その情報を得るためにはファミリーデンティストとして,歯科医院が機能していることも重要なポイントとなる.不正咬合の“芽”をどのように見つけるか?CHAPTER 12

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