エステティック メソセラピーアトラス
2/6

85脱毛治療88.2 メソヘアー 濃くて豊かに生えた髪は若々しい力強さの象徴である.頭全体に髪があると前向きな印象を受ける.男性も女性も非常に悩まされるもうひとつの典型的な加齢現象が脱毛である. 1日に100本までの脱毛は正常である.洗髪中に抜ける毛はすでに休止期にあり,いずれ抜けるはずのものである.男性における脱毛のもっとも一般的なタイプはアンドロゲン性脱毛症であり遺伝的な原因による.これは毛根のジヒドロテストステロン(DHT)に対する遺伝的な過感受性により生じ,このDHTは体内で男性ホルモンのテストステロンからできる.脱毛で典型的なのは前方から生え際が後退していく型か聖職者の剃髪のように頭部後方の毛が薄くなる型である.アンドロゲンが関係する脱毛は女性でも50歳を超えると一定の割合で生じ,とくに頭頂部に,閉経期のホルモン変化により起きる.これには毛が細くなることによる髪量減少も含まれる.この型は原因不明であるが若い女性に増えている.脱毛が多い季節は春と秋である.これは毛の生えかわりによるもので正常に自己制御された生理的過程である.出産後にも脱毛が生じ,これはホルモン変化によるものでもうひとつの生理的脱毛である.急性の脱毛は外傷によって起こるものであり,心理学的な観点から迅速で効果的な治療介入を必要とすることが多い.病歴聴取時に患者に尋ねるべきこととして脱毛の期間と重症度,以前の治療,薬物(経口薬,サプリメントを含む;デヒドロエピアンドロステロンとミノキシジルを用いるような局所的な処置),毒物(タリウム,ヒ素,水銀,化学療法)への暴露,併発疾患たとえば甲状腺障害や鉄欠乏症(血液検査が必要)がある.メソセラピーは自己免疫活性の高い患者には勧められず,たとえば完全(不完全も)円形脱毛症,FFA(瘢痕による毛包の破壊や毛包炎をともなう前頭部線維性脱毛症),長期の禿頭症患者では奏功しないからである.もし毛包の破壊が決定的なら唯一残された選択肢は古典的な自毛移植法だけであり,いわゆるマイクログラフト(1本ずつもしくは2, 3本ずつの毛包)を移植するものである.しかしながら他の非病理学的な脱毛であればメソヘアーによる安全な治療が奏功するかもしれない.早期の治療介入が望ましく,毛包の萎縮と角化細胞の過剰なアポトーシスが防げる.これは成長期を増やし休止期を減らすのが目的であり,毛根観察法で示すことができる(図参照,89ページ).Trichoscan®はもうひとつの診断法である.たいていの患者は牽引テストや皮膚生検を拒む.反対に治療経過の写真記録は患者にも見せられるし,望ましく治療への協力性もかなり高まる.8.2.1 毛髪の生活周期1 成長期約3~7年の期間,色素産生活性あり,伸長率は月に約1cm,頭部の全毛髪の80%以上.2 退行期 2~4週の期間,毛幹が血液供給から離れる,毛の色は失われる.常に全毛髪の2~3%はこの時期.3 休止期 もっとも重度の脱毛,全毛髪の15%までがこの時期.3か月に及ぶことがある. メソヘアーでは再活性化カクテルを頭皮内に注入して毛根の刺激と再生を促す.どんな種類の脱毛もたいていは止まる.毛根がまだ生きていれば再生し,たいてい毛は伸び続け,髪質もよくなる.1週間隔の6回の治療が必要であろう.必要であればさらに2週ごとの3回の治療とその後に1か月ごとの維持療法を続ける. 望まない場所での発毛や脱毛(休止期に増加する脱毛)は一般的にはあまりない.新しい毛髪は約2~3か月後にはっきりしてくる.患者は治療前には洗髪すべきであり,治療後24時間は毛染めもパーマもしてはならない.ところでついでながら鍼治療の経穴刺激はたいてい不快に感じるものだが,頭皮は痛みに対してとくに敏感なわけではない. フケや脂漏といった他の問題もメソへアー治療の間に対処できる.これらにはメソセラピー用調合剤に同毒療法用補助剤を加えるとよく,それにはWalaから供給されているFerrum Sulfur comp.かWiedemannのHomöokomplex BHがある.一般通念に反して,頭皮の血流はとてもよく,そのため抗線維化薬のペントキシフィリンが血管作動薬として用いられる傾向がある. ブフロメジルのわずか0.2mlあまりでも頭皮に重度の充血を引き起こせる.メソへアーにおける活性物質の使用目的は基質中で角化細胞を活性化することであり,つまり末梢微小循環を改善し,それによって毛包の微小栄養状態を改善することである.

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です