プロフェッショナルデンティストリーSTEP3
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1残存歯の保護 過去における歯科治療のマイナス要素は、欠損を修復するために隣在歯を犠牲にして、その歯の寿命を短くしてしまったことであろう。インプラントのなかった時代では、『犠牲を払っても、その結果噛めるようになる』というプラス面もあったことから、『歯を削るのは仕方がない』という意識が歯科医側にも患者側にもあった。しかしインプラントを臨床で十分に使用できるようになってからは、より『残存歯を傷つけない』ということが可能となった。特に最近では、永久歯の先天性欠損を持つ若い患者が多く、インプラントを使わなければ数多くの天然歯を削ってしまうことになり、その予知性は非常に低いものとなってしまう(Case 4-15)。 また、若年者におけるう蝕による最初の1本の欠損が、その後の咬合崩壊につながり、結果的に大きな修復が必要となってしまうことが多い。そのため、『最初の欠損に対する修復を適切に行うことにより、その後の天然歯を保護していく』という考えかたが重要である(Case 4-16)。 たった1本の欠損に対する歯科治療にも、さまざまなオプションが存在する。一般的にその優先順位は、保険診療における治療の概念からすると、①ブリッジ、②パーシャルデンチャー、③インプラントと考えられているが、『残存歯の保護』という観点から考えると、①インプラント、②パーシャルデンチャー、③ブリッジとなる。Chapter 4インプラント治療の基本的な考えかたChapter 4-3インプラント治療の目的と役割112

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