周術期口腔機能管理の基本がわかる本
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64がん手術と口腔管理心臓手術と口腔管理人工呼吸器関連肺炎(V A P)と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん化学療法と口腔管理臓器移植手術と口腔管理頭頸部がん術後S S Iと口腔管理がん手術と口腔管理心臓手術と口腔管理人工呼吸器関連肺炎(V A P)と口腔管理がん化学療法と口腔管理臓器移植手術と口腔管理頭頸部がん術後S S Iと口腔管理3.頭頸部がん放射線治療患者に対する口腔管理の実際 長崎大学病院では,頭頸部がんに対する放射線治療の際には前述のように口腔粘膜炎などの有害事象はほぼ必発するため,照射前から歯科が介入し口腔管理を行うことを病院の方針と定め,対象患者全例に対し歯科が介入している(図3).具体的な患者の紹介方法については第3章-2に示すとおりで,照射位置決め前に周術期口腔管理センター受診を必須にするようなシステムを構築している.ここでは,筆者らが行っている管理方法(放射線治療による有害事象予防バンドル)を紹介する. 放射線性顎骨壊死(図4)予防のために,放射線治療開始前の感染源となりうる歯,予後不良となりうる歯の抜歯を行う.少なくとも放射線治療開始2~3週間前までに抜歯を済ませるべきであるとする報告11もあるが,現実的な対応として当院では照射開始1週間前までに抜歯を行うようにしている.抜歯後の骨の露出の少ない重度歯周炎の場合は照射開始2~3日前に抜歯をすることもある.放射線性顎骨壊死予防のための抜歯基準についての報告はないが,Yamagataらの造血幹細胞移植における抜歯基準12を準用して,表3に示したような歯は抜歯が望ましいと考えている.放射線科依頼照射位置決め照 射歯科受診(必須)①抜歯の精査②スペーサー作製③ 口腔の保清・保湿④ サラジェンⓇの投与⑤ ステロイド軟膏+オリーブ油⑥ 皮膚ケア⑦ フッ化物局所応用退 院①~⑦のすべてを実施する 図3 有害事象予防バンドルの流れ①歯肉腫脹,疼痛,発赤,排膿など感染症状のある歯②8mm以上の歯周ポケットのある歯③動揺度3④エックス線で5mm以上の根尖病巣を認める歯⑤炎症症状を繰り返す智歯図4 放射線性顎骨壊死表3 放射線治療前の抜歯基準1.術前抜歯

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