周術期口腔機能管理の基本がわかる本
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15第1章 周術期口腔機能管理の基本がわかるQ&A大学病院でのシステム例①長崎大学病院大学病院でのシステム例②東邦大学医療センター大森病院一般病院でのシステム例市立池田病院歯科の併設がない病院の場合の例長崎県歯科医師会今知っておきたい周術期口腔機能管理の基礎知識周術期口腔機能管理の実施状況は?Q12多くの医療機関で取り組みがはじまっているものの,さらなる普及が必要ですA 2012年度の診療報酬改定以来,多くの大学病院や歯科を併設する拠点病院で周術期口腔機能管理に取り組んでいるようですが,一部では充実した口腔機能管理を実施している病院もあるものの,全体的にはまだまだ十分に普及しているとはいえない状況となっています.歯科の併設のない病院における周術期口腔機能管理については,あまり進んでいないのが現状で,今後の課題です.日本歯科医師会の伝達講習会がほぼ行きわたる2013(平成25)年度以降に周術期口腔機能管理がどの程度普及しているのか見極めて,十分でない場合,どのような対策を講じるべきか検討する必要があります.周術期口腔機能管理は医科歯科連携そのものが求められており,国民の要望にこたえるために,立場の違いを越えて歯科界全体で取り組んでいくべきものと考えます.なお,2012年度に行った全国の大学病院における周術期口腔機能管理の実施状況のアンケート調査の概要について,第3章-1で紹介しています.周術期口腔機能管理を実施することの医療機関にとってのメリットは?Q13患者さんのQOLを重視する取り組みは,その医療機関への支持につながりますA がん等の治療を行う医療機関が周術期口腔機能管理を実施するメリットとして,右下のようないくつかの効果が挙げられます. 合併症の軽減や平均在院日数の減少の可能性については,比較研究が行われておらずエビデンスはありませんが,周術期口腔機能管理に携わってきた多くの医療関係者が実感しているところです.一方で,周術期口腔機能管理が保険適応になり積❶ 肺炎をはじめとした術後合併症の発症頻度を減少させる❷ 放射線治療や化学療法時の有害事象を減少させ治療の完遂率を上げる❸ 心臓手術では感染性心内膜炎(IE)などの感染症を予防する❹ 治療中の患者のQOLを向上させる など極的に実施する病院が増えている現状で,これを取り入れないがん拠点病院は,患者サービスの面からマイナスイメージとなり,「周術期口腔機能管理を行わないデメリット」を考慮する必要があるのではないかと考えられます.周術期口腔機能管理を行う医療機関側のメリットはなかなか目に見えるものではないかもしれませんが,デメリットは1つもないといってもよいでしょう.

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