周術期口腔機能管理の基本がわかる本
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10大学病院でのシステム例①長崎大学病院大学病院でのシステム例②東邦大学医療センター大森病院一般病院でのシステム例市立池田病院歯科の併設がない病院の場合の例長崎県歯科医師会今知っておきたい周術期口腔機能管理の基礎知識 「周術期口腔機能管理について関心はあるが,実際にどのように取り組んだらよいのかわからない」と考える歯科関係者や病院関係者の方も多いと思われる.本章では,まず導入として国や保険制度上の文書だけではみえてこない「周術期口腔機能管理」の意義や実際の内容等について,Q&A形式でやさしくお答えする.同時に各回答において,より理解を深めるための具体的な実例やヒントが本書のどこに掲載されているか,赤字でわかりやすく提示しているので,参考にしていただきたい.梅田正博1)2)1)長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 口腔腫瘍治療学分野 2)長崎大学病院 周術期口腔管理センター今知っておきたい周術期口腔機能管理の基礎知識 Q1でも述べましたが,がん等の手術では術後の誤嚥性肺炎などの合併症の発症が問題となっていますが,これらの合併症と口腔内環境との関連性が明らかにされてきました.そのため,この合併症を予防するために,周術期口腔機能管理を行う必要があるのです.具体的には右のような大・中・小目標をイメージするとわかりやすいと思われます. 疾患や治療法に応じた(第2章各稿参照),術前・術中・術後の口腔感染等の予防策を徹底する 術前・術中・術後の口腔感染を防ぐ 合併症を引き起こす要因を事前に取り除く 術中事故を予防する など がん等の手術後,放射線治療後,がん化学療法後に合併症に苦しむことなく,QOLを保った生活や療養ができるようにする周術期口腔機能管理とは?Q1がん治療などによる合併症予防のために設けられた「歯科診療報酬項目」ですなぜ周術期口腔機能管理を行う必要があるの?Q2治療前後の患者さんのQOLを維持し,よりよい生活を送るために不可欠です小目標大目標中目標▲▲AA がん等の手術前後に口の中を清潔に保つことにより,誤嚥性肺炎などの術後合併症の発生を抑制できることが最近明らかになってきました.そのため,2012(平成24)年度の改定で初めて歯科診療報酬に収載されるようになったのが,「周術期口腔機能管理」です.この診療報酬は,歯科単独ではなく「医科歯科連携に対してついた点数」であることや,疾患の治療ではなく「予防に対する診療報酬」であることなど,従来の歯科医療保険にはなかった性格をもつものです.現在では周術期口腔機能管理料の適応疾患として,がん手術,放射線治療,化学療法,心臓手術,臓器移植手術などを受ける患者とされており,歯科病名がなくても,「術後合併症」の疾患名で算定可能です.一方,人工呼吸器装着患者や胃瘻造設者などにおいても口腔管理は非常に重要で,多くの病院で取り組まれてきましたが,「周術期口腔機能管理料」は現状では算定できず,今後適応拡大が望まれています.具体的な周術期口腔機能管理の対象や方法については,第2章にて詳しく述べられています.全歯科関係者・病院関係者必読!全歯科関係者・病院関係者必読!

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