必ず習得しておきたい歯科医院のための救命救急処置
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87Chapter3全身疾患をもつ患者の歯科治療高度な虚血によって心筋が壊死に至るものを心筋梗塞という(図2a).2)虚血性心疾患の症状 典型的な症状は,胸が圧迫されるような,締め付けられるような不快感である.重症であれば強い痛みを訴え,痛みは腹や背中,肩,腕,顎,歯まで広がる.また,顔面は蒼白になり,冷汗や嘔気・嘔吐を認める.糖尿病を合併している場合や高齢者,女性では,心筋梗塞に陥っても胸部不快感などの症状を訴えないこともあり,注意が必要である.3)虚血性心疾患の原因 虚血性心疾患の原因として重要なのがアテローム動脈硬化である.コレステロールが血管壁に入るとマクロファージなどがそれを貪食する.それらが蓄積することによってできた冠動脈内のプラーク(アテローム)によって血液の流れが悪くなる(図2b).プラークを囲む膜(内膜)が薄い場合は,図2動脈硬化による心筋梗塞の発症心筋に血液や酸素を供給している冠動脈が虚血状態になり,心筋が壊死に至った状態を心筋梗塞という.虚血性心疾患の原因としては,冠動脈内のプラーク(アテローム)によるアテローム動脈硬化がとくに重要である. 冠動脈:心筋に血液や酸素を供給している虚血→壊死b アテローム動脈硬化a血管壁プラーク(アテローム)血小板赤血球血液の流れc プラークの破綻プラークの破綻→血小板の凝集(血管の内側が傷つく)d 血栓の形成血小板(一次)血栓→凝固(二次)血栓血液が流れない

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