必ず習得しておきたい歯科医院のための救命救急処置
4/8

57Chapter2全身的偶発症の対処法起き上がらせてはいけない!口を開けたまま顔を横に向けて異物を確認するab1)異物が口腔内にあるか確認する 水平位での治療中に異物が口腔内に落下した場合,まず大事なのは,異物の咽頭部への落下を防ぐことである.そのためには,水平位のまま,口を開けた状態で,顔を横に向けさせて異物を探すとよい(図11a).このとき,患者に事態の説明と異物を飲み込まないように手短に伝えることも大切である.この時点で異物がすでに咽頭にある場合には,気管への吸い込みを防ぐ必要がある.そのため,呼吸は鼻でゆっくりするように指示する.異物が口腔内に確認できれば,鉗子や吸引を利用して異物を取り出す(図10). 水平位での異物落下時は,決して患者の上体を起こしてはならない(図11b).異物が咽頭部にあると,上体を起こすことによって異物がさらに下方へと移動して食道や気管内に落ち込みやすくなる.患者が仰向けの状態であれば,声門は咽頭の天井側にある(食道の上に気管がある)ので,吸気時に強く吸い込まないように注意すれば,自然に異物が気管の中に落下することはない.2)口腔内に異物が確認できない場合 異物が口腔内に見当たらない場合,咽頭部あるいはその下方へと落下し図11口腔内に異物を落下させた時は……a:正しい対処法.b:誤った対処法.水平位で異物の落下が起きた際は,決して患者を起き上がらせてはいけない.

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です