プロフェッショナル デンティストリー STEP1
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Fig.5-4b 46歳・女性。左右下顎頭の形態に著しい変形があり、その左右差も大きい。パノラマエックス線写真をみて下顎頭に大きな左右差がある場合は、問診にて顎関節症状の現症と既往を聴取する。患者は4年前に開口障害の既往があるものの、 現在は特に症状はない。下顎頭の高さに大きな違いはなく、咬合平面の傾きは認められないが、6が欠損しており78の近心傾斜が大きく、この傾斜によって下顎の咬合平面が乱れている。78は抜歯が適応であるが、顎関節に問題がある場合は、78を2本同時に抜歯したり、抜歯後そのまま放置したりするような不用意なことはせず、患者の口腔内の状態を大きく変えることは避けるべきである。bbFig.5-4c 56歳・女性。左右の下顎頭の形態に軽度の違いがあるが、開口障害や疼痛などの顎関節症状はなく、その既往もない。しかし、下顎頭の高さが左右で大きく違い、左下がりで、下顎咬合平面も左下がりとなっている。パノラマエックス線写真では下顎が右側に偏位しているのがわかる(下顎の偏位の確認方法:左右の下顎角とメントン(オトガイ最深部)を結んだ線で確認する。また、左右の下顎枝の長さの違いをチェックすることも重要である)。この患者は外科矯正治療を拒否したため安定しにくい口腔内であるが、メインテナンスを欠かさないようにして現状維持に努めていくことが重要である。ccddFig.5-4d 55歳・女性。パノラマエックス線写真では、一見すると大きな問題はないようにみえる。しかし下顎頭をよくみると、左右の形態と高さに違いがあることがわかる。顎関節症状は左側顎関節にクリック音が認められるものの、開口障害や疼痛は現症・既往ともにない。下顎頭は左下がりで、咬合平面も左下がりである。またパノラマエックス線をよくみると、下顎が左に偏位しているのがわかる(Fig.5-4c参照)。みた目の感じよりも問題が内在していることがわかる。よってすぐに欠損部にインプラントと考えずに、口腔内をよく診査して、欠損となった原因を考えるべきである。Chapter 5診査・診断に活かすパノラマエックス線写真と口腔内写真の読み込みかた107

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