プロフェッショナル デンティストリー STEP1
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Case 1-1a、b 25歳・女性。う蝕の原因が歯列不正であることは明白である。矯正治療による環境改善を行えば、修復治療はシンプルなものとなる。Case 1-1 矯正治療により環境改善した症例①aabbCase 1-2a、b 56歳・女性。初診時の歯列のままでは上下顎前歯は抜歯になるであろう。矯正治療を行うことにより歯の寿命を延ばすことが可能となる。Case 1-2 矯正治療により環境改善した症例②aabbある」ということを理解せずに歯を削ってしまうのは、歯科医師自身が原因究明に際し『歯ばかりをみて歯列をみていない』というところに起因しているのであろう。 天然歯がきれいな年代では、適切な歯列を確立しておけば、それ以降に求められるものはう蝕のコントロールと基本的なプラークコントロールだけになる。つまり、乳歯列から永久歯列が確立する成長発育の段階で矯正治療を取り入れることにより、将来の予防的環境を作り出すことができる。また、何らかの問題を起こしている成人患者においては、過去に装着された補綴物や無髄歯、欠損だけに目を奪われるのではなく、「もう成長しない」ということを考慮にいれて対応すべきである。たとえ患者が高年齢であっても、根本的な原因除去を行おうとするならば、歯列の問題を解決せざるを得ないこともよくあるだろう。つまり、まずは口腔内環境を整えることを目的として、歯列の安定を図ってから修復治療に入る姿勢が必要不可欠である(Case 1-1、1-2)。矯正治療のメリットとデメリットの正確な判断が、今求められているのである。Chapter 1現在の歯科治療に必要な基本コンセプト11

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