102症例で知るインプラント日常臨床
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咬合サイナスリカバリー審美矯正GBRメインテナンスオーバーデンチャー3章 インプラントリカバリー症例の概要 日常臨床においてアバットメントの破折を経験することは非常に稀であるが、下顎臼歯部にインプラントを埋入し、機能後にアバットメントの破折を3症例経験した。それぞれのインプラントはアバットメントの緩みの少ないテーパーコネクションを有しており、咬合時の下顎骨体の歪みを考慮し、連結せずにシングルスタンドとしていた。その中でアバットメントが破折した症例におけるインプラントにかかる応力に着目し、CT画像でインプラント周囲の骨密度を検証した。処置内容とその根拠 アバットメントが破折を来したインプラントの周囲(頬側や根尖側)には、CT画像の観察により骨密度の高い骨が存在していた。アバットメントが破折するほどの荷重が加わり、力学的な要因によりインプラント周囲骨のリモデリングが惹起されたとも考えられる。骨に対するオーバーロードから骨の添加機転が働き(Frostのメカノスタット理論)、骨密度が増加する。その結果、アバットメントに応力が集中し、破断するという流れが考えられる。3つの症例ともに、CT画像から上・下顎ともに舌側に比較して頬側の骨密度が高くなっていた。58シングルスタンドインプラントのアバットメントの破折検証若井広明(東京都開業)症例3-d 約2年後のCT像。6.5mmのインプラント頬側全体に密度の高い骨を認める。症例3-b 口腔内写真。アバットメントのテーパー部がインプラント内に残存。症例3-a 埋入6年後のアバットメントの破折時。上顎左側臼歯部はインプラントにて治療。症例3-c 上部構造のアバットメント破折断面。症例2-d 約4年後のCT像。頬側全体に密度の高い骨を認める。症例2-b 埋入3ヵ月後の上部構造装着時のデンタルX線像。症例2-a 部にインプラントを埋入。症例2-c 埋入4年後。アバットメントの破折を確認。症例1-d 約2年後のCT像。インプラントの頬側および舌側根尖側に密度の高い骨を認める。症例1-b 埋入5ヵ月後の上部構造装着時のデンタルX線像。症例1-a 部にインプラントを埋入。症例1-c 埋入2年6ヵ月後、アバットメントの破折を確認。77

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