102症例で知るインプラント日常臨床
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咬合サイナスリカバリー審美矯正GBRオーバーデンチャーメインテナンス2章 サイナスフロアエレベーション症例の概要 オステオプッシャーによる歯槽頂アプローチは、ゆっくり回転してシュナイダー膜を挙上する方法で、骨を削らない、槌打を必要としない、侵襲の小さい方法である。当センターにおける116症例、164本の後ろ向きの研究によると、既存骨5mm以上が23.8%で成功率95%、既存骨3~5mmが25.0%で成功率85%、既存骨3mm以下が51.2%で成功率70%であり、全体では80%の成功率であった。そのため3mm以下での改善のため図5、6のような「スリットリフト」が考案された。処置内容とその根拠 歯槽頂アプローチによる挙上では、骨補填材料填入圧力によるシュナイダー膜の自然な剥離が必要であるが、シュナイダー膜に強い癒着がある場合、テンションがかかり膜の裂開を起こす。そのため、オステオプッシャーにてスリット状に上顎洞洞底骨を骨折させ、その周辺を手用器具にて剥離した後に骨補填材料填入にてシュナイダー膜の挙上をした。本法により3mm以下の成功率は70%から93%に改善された(30症例、43本)。45既存骨3mm以下における歯槽頂アプローチの成功率と新しい手術法水口稔之(東京都開業)図1 オステオプッシャーがシュナイダー膜を挙上するイメージ。図2 歯槽頂アプローチにおいて、当センターでは、既存骨3mm以下の症例が50%を超える。図3 骨補填材料の漏れがない症例は80%だが、3mm以下では成功率が下がる。図4 シュナイダー膜と骨の癒着があると、骨補填材料による自然な剥離ができずテンションがかかり破けやすい。VBW=5mm以上95%VBW=3~5mm以上85%VBW=3mm以下70%合計80%図9 免荷期間4ヵ月で補綴。図10 その他の症例。図11 その他の症例。図12 スリットリフト導入後、以前と比べ成功率が上がった。3mm以下で「漏れのない」確率スリットリフト以前70%スリットリフト以後93%図5 スリット状に削合し、オステオプシャーで骨折させる。図6 スリット周囲全周、幅3mm程度を手用器具にて剥離後、骨補填材料填入。図7 既存骨1mm程度の症例。シュナイダー膜が薄いことも認められる。図8 手用器具にてシュナイダー膜の剥離。インプラントは同時埋入。当センター5mm以上3~5mm3mm以下020406080100(%)癒着部分癒着部分62

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