歯周病患者におけるインプラント治療
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43CHAPTER 8メインテンス3 歯科衛生士によるメインテナンスの実際1.口腔清掃法の提示 患者自身による口腔清掃(セルフケア)は、生涯にわたり毎日続けることが大切である。安全・簡単で、効率のよい口腔清掃法を提示することが望ましい(図1〜4)。2.プロフェッショナルケア セルフケアでの不足部分を補う。インプラント体、インプラント上部構造、歯周組織にダメージを与えないようにデリケートな施術をすることが望ましい(図5〜8)。図1 ブラッシングは、小刻みなストロークで、過度な圧力をかけずに行うよう指導する。また、インプラント周囲全周に、ブラシの毛先を入れることができるよう「毛先の方向」を説明するとよい。うまく毛先が入らない部位は、タフトブラシの使用を薦める。図2 スーパーフロスは、歯肉縁下の痛みが生じないところまで挿入するように指導する。摩擦を避けるためには、薬液か水を含ませて挿入するとよい。患者自身で行うことが難しい場合は、プロフェッショナルケアで行う。図3 歯間ブラシは、インプラントの生え際にしっかり沿わせて使用するように説明する。歯間ブラシは毛が消耗すると、中心のワイヤーでインプラントを傷つけてしまう可能性があるので、早めの交換が必要であることを伝える。図4 メインテナンス時、歯磨剤の顆粒(ゼオライト)が歯肉溝から出てくることがある。顆粒は、インプラント周囲溝の深くまで入り込むとアバットメントを外して除去する必要があるため、顆粒入り歯磨剤の使用は避けてもらう。(写真は植田晋矢先生より提供)図5 上部構造に沈着した歯石除去には、超音波スケーラーのプラスチック製チップを使用するとよい。図6 上部構造に沈着したステインは、歯面研磨器でグリシンパウダー(粒径150μm)を吹きつけて除去するとよい。軟組織に炎症がある場合は出血するため、吹きつける方向に配慮する必要がある(ハイブリッドクラウンには禁忌)。図7 インプラント周囲のバイオフィルムの除去にはソニックブラシが適している。ただし、ソニックブラシは毛先がやや硬いため、角化歯肉がない、または少ない部位においては、粘膜を傷つけないように注意する必要がある。図8 インプラント周囲炎の場合、インプラント周囲のバイオフィルムの除去には、純チタン製、またはチタン合金製の超音波スケーラーのチップを使用することが推奨される(各メーカーに基準あり。プラスチック製チップも可)。口腔清掃指導のポイント(図1~4)プロフェッショナルケアのポイント(図5~8)SUMMARY① 安全・簡単で、効率のよい口腔清掃法を提示する。② プロフェッショナルケアにおいては、インプラントと歯周組織にダメージを与えないデリケートな施術を行う。

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